CVR(成約率)を上げる施策には、大きく「デザイン」「オファー」「セールスコピーライティング」の3つがあります。この記事ではオファーについて学ぶことができます。
あなたが競合よりも優れたオファーを提案できるようになれば、CVRが劇的に上がるでしょう。オファーはセールスにおいて非常に重要な要素です。ここではオファーとは何か、どのように魅力的なオファーを作っていくかということについて学んでいきます。
目次
マーケティングにおけるオファーとは
最初にオファーとは何か、その言葉の定義から見ていきましょう。
オファーとは、見込み客に提示する取引条件すべてのことです。例えば、価格や納期、決済方法などですね。あなたは商品を売っているのではなく、実はオファーを売っているのです。
どういうことか説明します。ビジネスの取引現場では、さまざまな取引条件があります。
商品を受け取るのにいくら現金を払えばいいのか、カードで払えるのか、分割払いはできるか、割引はしてくれるのかといった支払いに関すること。あるいは、商品は今すぐ受け取れるのか、それとも数日後に郵送されてくるのか、何か特典はつくのか、返金保証はあるのかなどといった情報も必要でしょう。
顧客は商品そのものだけでなく、これらの取引条件も含めて、購買を決断しているのです。
つまり、もう一度言いますが、あなたは商品ではなくオファーを売っているのです。だからオファーが魅力的であればあるほど、CVR(成約率)が上がります。
世界一のコピーライターと呼ばれたゲイリー・ハルバート次のように言っています。
強いオファーで下手なセールスコピーをカバーすることはできるが、弱いオファーを上手いセールスコピーでカバーすることはできない
ゲイリー・ハルバート
つまり、オファーが強ければコピーが下手でも売れますが、オファーが弱ければコピーが上手くても売れないということです。
セールスで重要な3つの要素
そして、オンラインでのセールスにおいて重要な要素は3つあります。
それは、1番目にリスト、2番目にオファー、3番目にセールスコピーです。
リストは見込み客リストや顧客リストのこと。つまり、セールスにおいて最も重要な要素は「Who:誰に売るか」ということです。
そして、2番目にオファーです。オファーは「What:何を売るか」ということ。
そして最後にくるのがセールスコピー、つまり「How:どのように売るか」ということです。
このように、セールスではWho、What、Howの順に重要度が高くなります。そして、この記事ではWhatの部分であるオファーについて詳しく解説していきます。
オファーを構成する要素
それでは、オファーを構成する要素を見ていきましょう。オファーには、価格や割引、決済方法、送料など支払いに関する条件や、特典、保証、締め切り、納期などの要素があります。他にも、あなたが付加できる条件があれば、それらも全てひっくるめてオファーとなります。
「ジャパネットたかた」などのテレビショッピングを見てみると、セールスのクロージングトークでオファーを提示しています。実際に動画を見てみましょう。
下のYouTube動画はジャパネットたかたのテレビショッピングです。長いのでオファーが提示される8:30~の時点から見てもらうといいと思います。
これは炊飯器のテレビショッピングですが、価格の後に1万円の下取り、その後に15回の分割払い、金利手数料ジャパネット負担とありますね。その後特典として鍋の8点セットがつき、さらに豚トロの500gがつくといったオファーになっています。
これら全てがジャパネットたかたが提示しているオファーです。これをみると商品だけを売っているのではないということがよくわかりますよね。下取り、分割払い、金利手数料負担、鍋と豚トロの特典といった全てを含めたオファーを売っています。
それにしても、やっぱりジャパネットたかたはすごいですよね。これを見たら思わず注文したくなります。
このように、あなたが提示できる取引条件全てが、オファーの要素となり得ます。ジャパネットたかたを見たら、強いオファーとは何かということがわかったかと思います。
価値と対価のバランスを考える
ここでは、価値と対価のバランスという考え方について説明していきます。
人が商品を買うのは、どのようなときでしょうか。それは、価値が対価を上回ったときです。よく「値段が安いから買う」とか「高いから買わない」とかいいますが、これらの表現は正しくないですね。実際は、値段が「価値と比べて安い」「価値と比べて高い」というのが正確です。
つまり、人はものを買うときには、無意識に商品やオファーの価値と対価を天秤にかけているのです。
価値とは、その商品を買うことで得られるベネフィットのことです。
対価とは価格、つまり支払うお金ですね。あとは、その商品を買うために費やす時間や手間などです。
人は価値と対価を比較して購買を決定しているので、ボクたちは見込み客に要求する対価よりも、価値の方が重くなるようにオファーを作らなければいけません。反対に、価値が相対的に高ければ、高い値段でも売れるのです。
商品の価値が高くても、見込み客がお金を持っていなければ買ってもらえないと考える人もいます。でも、あなたの商品を買うお金をもっていない人は、そもそもあなたの見込み客ではありません。
それに周りを見渡せば、多くの人が5万円以上もするスマホや、10万円以上もするパソコンなどを持っています。また100万円もする車を持っている人もたくさんいますよね。実際はみんなお金があるのです。
つまり、人がお金がないという場合は、「この商品に支払うお金はない」という意味なのです。だから相対的に価値の方が高ければ、値段に関係なく見込み客はあなたの商品を買ってくれます。
価値を上げるためには、商品の質を高めることは言うまでもありませんが、魅力的なオファーを作ることもまた、非常に大切だということを覚えておいてください。
強いオファーを作る5つの要素
それでは、強いオファーを作るためにはどのようにすればいいのでしょうか。ここからは、強いオファーを作るための5つの要素について解説していきます。
具体的には、強いオファーを作るためには、次の5つの要素を取り入れてください。
- 割引
- 特典
- リスクリバーサル
- 分割決済
- デッドライン
それぞれ詳しく解説していきます。
強いオファーの要素1:割引
まず、オファーの中でも重要な要素となる割引について解説していきます。単純ですが、割引をすればCVRが上がります。だから多くの企業が割引セールをしたがるのです。でも、消費者はとても賢いので、ただ単に「割引します」といっても響きません。
「どうせ定価を元々の値段より高く設定していて、割り引いた後の金額が本来の価格なんだろ」と思われてしまいます。つまり、見込み客はあなたの言っていることを簡単には信じないのです。
そのため、割引をする際には理由が必要となります。
割引と理由は必ずセットで提示する
割引と理由は必ずセットでなければいけません。面白いことに、人は理由があるだけで、相手の言っていることを信じる傾向があります。
「影響力の武器」という有名な心理学の本がありますが、そこには面白い実験結果が載っています。その実験とは、コピー機の順番待ちの列の先頭へ行き、割り込みをさせてもらうように頼むというものです。その際に3通りの頼み方をし、割り込みをさせてもらえた承諾率を比較しました。
一つ目は要求のみを伝えるというものです。
「すみません、先にコピーをとらせてもらえませんか?」と頼みます。すると、60%の確率で割り込みをさせてもらえました。
二つ目は本物の理由を付け足すというものです。
「すみません、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」と頼みます。すると、94%の承諾率を得られました。
しかし、ここからが面白いのですが、三つ目は理由にならない理由をつけ足して依頼しました。
「すみません、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」と頼んだのです。すると、なんと93%の承諾率を得られました。
コピーをとらなければいけないのは、列に並んでいる人全員が同じです。本来正当な理由になりません。にもかかわらず、93%もの承諾率が得られたのです。
つまり、人はそれっぽい理由があるというだけで、反射的に相手の要求を承諾してしまうのです。もっと言えば、「~だから」「~なので」という言葉に反応しているとも考えられます。
そこで、多くのお店がそれっぽい理由をつけて割引セールを行っているのです。例えば、在庫一掃セールは在庫が余っているからという理由で割引を行っています。
他にも、記念日セールというものがあります。これは例えば「創立5周年だから」「社長に子供が生まれたから」「クリスマスだから」など、よくよく考えるとあまり理由にならないような理由で割引を行うものです。
割引の中でもとくに強力なのが、訳ありセール。これは「商品に傷があるから」「パッケージがつぶれているから」「規格から外れているから」「型落ちだから」などという理由で割引されるものです。
昔からよく使われる手法ですが、今でも絶大な効果があります。アウトレットなどは、訳ありセールのみで成り立っているビジネスですね。
また、モニター価格というのも割引セールの一種です。テスト販売だからという理由で割引して販売するものですね。似たようなもので、「商品の使用後に感想をもらえる場合は割引します」というものもあります。これはお客様の声を集める際に役立つオファーです。
このように、オファーに割引を含める際は、見込み客の信用を得るために理由を述べなければいけません。そのため、割引と理由はセットであるということを忘れないようにしましょう。
強いオファーの要素2:特典
次に、特典について解説していきます。特典もオファーの重要な要素の一つです。先ほどジャパネットたかたのテレビショッピングを見ましたが、あの動画でもかなりの数の特典を付けていましたよね。
特典をつけることで見込み客はお得感を感じます。特典なしの場合と特典ありの場合では、当然後者の方がCVRが上がります。そのため、あなたもオファーを作る際には、特典を含められないか検討しましょう。
しかし、どのような特典でもいいというわけではありません。当たり前ですが、見込み客にとって価値のある特典でなければ意味がないのです。
価値ある特典を作る際の5つの指針
次の5つを、特典を作る際の指針にしてください。
- 特典をつけることによってCVRが上がる
- 特典は見込み客にとって価値のあるものでなければならない
- 誰も欲しくないものを特典にしても意味がない
- 特典は価格換算する
- 実際に販売している商品を無料特典にできればアドバンテージがある
つまり、見込み客もゴミは要らないのです。価値ある特典とは、例えば、炊飯器の特典としてお鍋の8点セットを付けることであったり、豚トロ500gを付けることであったりです。
また、特典は絶対に価格換算しなければいけません。価格換算することで、目に見えて価値を伝えることができるからです。ジャパネットたかたでも、「2,000円相当の豚トロ500g」というように、価格換算していましたね。
実際に販売している商品を無料特典とすることができると一番いいです。価格換算だと「本当にそんな値段がするものなの?」と疑う人がいますが、実際に販売している商品であれば疑いの余地がないからです。
特典を作る際は以上の点に注意してください。
オンラインビジネスの場合は、デジタルコンテンツが特典に適しています。なぜなら原価がかからないので、いくつ配っても金銭的なリスクがないからです。
例えば、ボクの知り合いでマーケティングコンサルタントをしている人は、過去に開催したセミナーの映像をよく特典にしていました。これは有料で行ったセミナーなので、実際の価格が提示できるというメリットがあります。
例えば一人3万円で開催したセミナーであれば、3万円分の特典ということができますよね。
このように、見込み客にとって本当に価値があり、価格換算できるものが特典には適しています。
強いオファーの要素3:リスクリバーサル
3番目に、リスクリバーサルについて解説していきます。リスクリバーサルとは簡単にいうと保証のことです。オンラインビジネスでは多くの場合、返金保証という意味で使われます。
リスクリバーサルとは、見込み客が対価を支払うことで生じるリスクを販売者側が引き受けるという意味です。返金保証が最もよく使われます。
返金保証を付ければCVRが上がりますが、曖昧な条件を付けるべきではありません。返金の条件を明確にし、見込み客に考えさせないことが重要です。なかでも無条件の返金保証はとても強い手法です。でも、返金保証より強いリスクリバーサルの手法もあります。
リスクリバーサルも強いオファーを作るためには、重要な要素です。リスクリバーサルは返金保証のことだと思っている人が多いのですが、本来は顧客のリスクを販売者側が引き受けるという意味。
確かに返金保証がついていれば、顧客はリスクの大部分を低減することができるでしょう。実際に、返金保証をつけることでCVRは上がります。でも、ここで曖昧な条件を付けると見込み客を不安にさせてしまいます。
例えば「満足いただけない場合は返金します」などという条件を付けると、どの程度の満足なんだろうかと考えてしまいます。このようなことで見込み客を悩ませてはいけません。見込み客は迷った時点であなたのページから離脱します。そのため、返金保証を付ける場合には、条件を明確にしましょう。
例えば、あなたが英語のTOEIC教材を販売しているのであれば、「TOEICで700点以上を取れなければ返金します」などとすれば、明確ですよね。
また、「1か月以内にご連絡をいただければ返金します」というように短い期間を設定していると、顧客も1か月という期限を意識してしまうので、返金率が高まります。
それよりも「1年以内」というように長い期間を取った方が、顧客もゆっくり商品を試すことができますし、正直忘れてしまうということもよくあるので、返金率が下がる傾向にあります。
それ以外にも、無条件の返金保証を付けるという方法も有効です。つまり、理由がなくても要求されれば返金しますというものです。無条件であれば、見込み客はあれこれ条件を気にする必要がないので悩みませんよね。
確かに、無条件の返金保証は悪用されることがありますが、一部の人に商品だけとられて返金されたとしても、その損害分を上回るだけの売上が上がればいいのです。また商品がデジタルコンテンツの場合は、損害といっても原価がかかっていないので、金銭的なマイナスはありません。
そのため、無条件の返金保証はとても良いアイデアだと思います。
また、リスクリバーサルは返金保証だけではないと書きましたが、まれに通常の返金保証より強い保証をしている企業もあります。
例えば、「この商品を試して成果が出なかった場合は、お詫びとして、いただいた代金の2倍の額を返金します」などというものです。これを行うには相当な度胸がいりますが、CVRは劇的に高くなることが予想できます。
返金保証以外にも、アフターサービスや技術サポートなどの保証をつけることも有効です。
オンラインマーケターの中には、競合がどこも返金保証をつけているので、逆に返金保証をつけないことで商品への自信をアピールしている人もいます。
しかし、これは高等テクニックであって、基本的にはオファーは競合より強くなくてはいけないという原則があります。だから、経験値が少ない場合は返金保証をつけることをおすすめします。
デジタルコンテンツを販売している場合は、原価がかかっていないので、返金したとしても正直ダメージはありませんよね。だから、返金を恐れるよりもCVRをアップさせる方にフォーカスした方がいいと思います。そのため、基本的にはリスクリバーサルをオファーに含めるようにしましょう。
強いオファーの要素4:分割決済
4番目に、分割決済について解説していきます。まず結論から書きますが、分割決済を導入するとCVRが上がります。どのくらい上がるかというと、売上が52%上がるというデータもあります。52%も上がるのであれば、導入しない手はないですよね。
先ほど見たジャパネットたかたのテレビショッピングでも、「炊飯器28,380円の15回払いで、月々2100円」とオファーしていました。確かに、月々2100円なら安いと考える人もいますよね。
実は、人間は未来の出費に対して鈍感なのです。そのため、支出を後回しにできる環境を作ると、人はモノを買いやすくなります。クレジットカードで借金地獄にはまってしまう人がいるのは、支払いが後回しなのをいいことに、収入以上の買い物をしてしまうからです。
このように考えると、分割払いを導入するとCVRが上がる理由が理解できますよね。だから、ジャパネットたかたのようなテレビショッピングでは、常に分割払いを導入しているのです。
分割払い以外にも、支払いを簡単にすることでCVRを上げることができます。例えば、なんらかの理由でクレジットカードが使えない、クレジットカードを使いたくないという人のために、銀行振込を用意しておくとか、見込み客に安心感を与えるためにPaypalを用意しておくなどの方法があります。
このような、分割払いも含めた支払いの簡便さは、CVRの向上に貢献するのです。
強いオファーの要素5:デッドライン
CVRを上げるためには強いオファーを作らなければいけませんが、オファーの要素の中で最も重要なものは何だと思いますか?
実はCVRを上げるために最も重要なのは締め切りです。DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)ではデッドラインという言い方をします。
例えば、100個限定とか、3日間限定割引といった期限を設けるものです。
よく、マーケターの仕事はデッドラインを作ることだといわれるのですが、デッドラインはそのくらい大切だといえます。CVRを上げる最大の武器はデッドラインです。
ではなぜデッドラインがそれほどまでに重要なのでしょうか。それには大きく2つの理由があります。
デッドラインが重要な理由1:人間は決断を先送りにする
一つ目の理由は、人間は決断を先送りにする習性があることです。あなたにも心当たりがあると思いますが、人は皆決断したくありません。決断にはエネルギーが必要です。だから、何かを買おうか迷っていても、後で決断しようと先送りにしてしまいます。そして、結局買わずに終わるのです。
とくに現代人は常に忙しいので、集中力がありません。もし見込み客に決断を先送りにされたら、5分後にはあなたのことも、あなたの商品のことも忘れられます。二度とあなたの元に戻ってくることはありません。「後にしよう」はセールスの死を意味します。そのため、今すぐ決断させなければいけません。
今すぐ決断させるには、「今買わないと二度と手に入りませんよ」とデッドラインを設けることが一番いい方法なのです。
デッドラインが重要な理由2:人間は手に入らないものを欲しがる
二つ目の理由は、人間は手に入らないものを欲しがるというものです。そのため、希少価値の高いものは高くても売れるのです。
例えば、なぜ松茸は値段が高いのでしょうか。他のキノコに比べて圧倒的に美味しいからでしょうか。違いますよね。昔から「香りマツタケ味シメジ」といわれるように、確かに香りはいいのでしょうが、味はシメジの方がいいという認識が一般的にあるようです。
それにも関わらず、しめじより松茸の方が圧倒的に高価なのは、マツタケがあまり収穫できないからです。つまり希少性が高いのです。人は希少性が高いものを欲しがるので、希少性に比例して需要も高くなっていきます。
そのため、手に入らないという状況を作り出すことができればCVRは上がります。そして、手に入らない状況を作り出すのにデッドラインが有効なのです。
CVRを上げる最強の武器はデッドラインです。オファーを作る際には、必ずデッドラインを設けるようにしましょう。
売上が上がるタイミングを知っておく
ここでは、セールス期間中の売上が上がるタイミングを説明します。まず先ほど書いたように、いつでも買えるという状況はセールスにおいて最悪です。いつでも買えるのであれば、誰も今買うことを決断しないので、結局売上が伸びません。
そのため、DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)ではセールス期間を限定します。オンラインであれば、だいたい4日間前後が最適だといわれています。
オンラインでは1週間という期間は長いので、希少性を最大限にアピールできません。しかし、期間が短すぎても、セールスに気づかれずに終わってしまうというリスクがあります。そのため、4日間前後が最適だといわれているのです。
そして、売上は上のグラフのようなかたちで上がっていきます。まず、初日に全体の20%くらいの売上がたちます。その後パタンと売上が落ち、セールス最終日にガンと売上が伸びるのです。おそらく最終日とその前日で全体の70%ちかくの売上が上がります。
初日に売上があがるフックとなる要因はニュース性です。人はニュースに敏感に反応するようにできているので、ニュース性により売上が上がります。
そして、最終日に圧倒的な売上がたつ要因はデッドラインです。「この日以降買えなくなるのか」と考えると、人は希少価値を感じるので、今手に入れておこうと行動するのです。
このように、売上があがるタイミングがわかれば、デッドラインの重要性がさらに理解できると思います。
2種類のデッドラインを理解する
ここまででデッドラインの重要性が理解できているかと思いますが、具体的にデッドラインにはどのようなものがあるのでしょうか。
実は、デッドラインには2種類あります。それは、時間と数量です。また、それぞれに人工的なデッドラインと商品特有のデッドラインの2つがあります。
例えば、人工的な時間のデッドラインは、「○月○日までの限定販売」といったかたちで、こちらで販売期間を限定してしまうというものです。
商品特有の時間のデッドラインには、日付の決まっているセミナーなどが該当します。セミナーは日付が決まっているので、当然それ以降に購入することはできませんよね。
一方、人工的な数量のデッドラインとは、例えば「お一人様3個まで」と販売者側で数量を限定してしまうものです。よく青汁のテレビショッピングなどで「お一人様3箱まで」と言っているのを見ますが、決して在庫が足りないわけではありません。限定した方が売上が伸びるから、そのようにオファーしているのです。
商品特有の数量のデッドラインとは、座席数が決まっているコンサートなどですね。座席数以上に販売することができないので、初めからチケットの枚数が決まっています。
このように、デッドラインには時間と数量の2種類があり、人工的なものと、商品特有のものとがあります。商品特有のデッドラインがあるのであれば、それだけでアドバンテージになります。なぜなら説得力があるからです。
しかし、例えばオンラインコースやデジタルコンテンツを販売している場合は、無限に複製して販売することができますよね。このような場合は、人工的なデッドラインを設けなければいけません。そして、このときに用いるのは時間のデッドラインです。
なぜなら、数量のデッドラインは嘘くさいからです。見込み客だってデジタルコンテンツが無限に複製できることは当然知っています。にもかかわらず100個限定ですと言われたら、「なんでデジタルコンテンツなのに100個しか販売しないんだろう」と疑問に思うでしょう。
また、「本当は100個以上注文がきても販売を続けているんじゃないの?」と勘繰るはずです。実際に個数限定といっておきながら、それ以上販売している業者がたくさんいるので、消費者はもう数量の限定をあまり信じなくなってきています。
そのため、時間でデッドラインを設ける方がベターです。100個限定と言っても、「どうせ販売個数が100個に達しても買えるんでしょ」と思われ、希少性の力が弱くなります。でも3日間の限定販売と言えば、「急いで買わなきゃ」と思わせることができます。
それに時間の限定であれば、実際に見込み客側でデッドラインを検証ができるので信憑性が高いのです。なぜなら、例えば3日間の限定販売の場合は、4日目にセールスページを見れば、販売が継続しているかどうか確認することができるからです。
このときに、期限を過ぎても販売を継続していた場合、見込み客は二度とあなたの言ってることを信じないでしょう。顧客の信用を失うことほど、セールスにとってダメージの大きいものはありません。そのため、デッドラインを作ったら嘘をつかず、絶対に期限を守るようにしましょう。
ちなみに、現在は「Deadline Funnel」などのマーケティングツールを使うことにより、デッドラインが過ぎれば自動的に販売を終了することができます。
デッドラインの作り方
それでは、具体的なデッドラインの作り方を解説していきます。
デッドラインは複数設けると上の図に書きましたが、売上はデッドラインの近くで最も上がるんでしたね。そのため、デッドラインが複数あれば、その分売上は伸びるということです。
だから、ボクたちはCVRを上げるためにデッドラインを複数設けなければいけません。まさに、マーケッターの仕事はデッドラインを作ることですね。
それでは、どのようにデッドラインを複数設けるのかというと、あらかじめ決めておいた日程に沿って、オファーの要素を1つずつ外していくという手法を使います。
具体的には、例えば最初に「商品 + 特典① + 特典② + 割引」というフルセットのオファーをします。しかし、このオファーで購入できるのは、セールス初日だけというようにするのです。
そして、2日目には割引がなくなり、「商品 + 特典① + 特典② 」というオファーになります。同じように、3日目は特典②がなくなり、「商品 + 特典① 」だけのオファーとなります。
4日目には特典①がなくなり、商品のみのオファーとなり販売終了とするのです。このようにすれば、セールス期間中に4回デッドラインを作ることができるので、その分売上が伸びます。
CVRを高めるには、デッドラインを上手く活用することが重要です。そのため、特典や割引など、いくつかのオファーの要素を組み合わせて、できるかぎり多くのデッドラインを設けるようにしましょう。
競合より強いオファーを作る
オファーを作る際に最も重要なことは、競合より強いオファーであるということです。
競合以外の企業と比べてオファーが魅力的である必要はありませんが、競合より弱いと見込み客を奪われてしまいます。なぜなら、いかにセールスコピーで上手く説得しようとしても、最初に書いたように、弱いオファーを強いコピーでカバーすることはできないからです。
そのため、競合のオファーをリサーチし、競合より強い魅力的なオファーを作るように心がけましょう。では、競合より強いオファーとはどのようなものでしょうか。
例えば、競合が提示できていない条件を提示できれば強いオファーにすることができます。他の企業がやっていないという意味では、ユニークなオファーと言い換えてもいいかもしれません。
例えば、ドミノ・ピザというピザ屋がありますが、このピザ屋が急成長した理由はユニークなオファーにありました。それは次のようなものです。
熱々でジューシーな美味しいピザをお宅まで30分以内にお届けします。間に合わなければ、代金は頂きません
ドミノ・ピザ
実は、ドミノ・ピザがこのオファーを掲げる以前は、ピザの出前は到着までに時間がかかり、冷めきったピザが届くのが常識だったのです。そのため、ドミノ・ピザの「30分以内に熱々のピザを届ける」「間に合わなければ無料」というオファーは強烈なインパクトがありました。
これが理由で、数多ある競合のピザ屋をしり目に、ドミノ・ピザは大企業に成長していったのです。
このドミノ・ピザの例は、よくUSPを説明するときに用いられるものです。USPとはUnique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の略で、日本語で「独自の売り」と訳されます。
つまり、他社にない独自の売りを含めることで、競合より強いオファーを作ることができるのです。ドミノ・ピザは強力なUSPを作り上げることで、売上を伸ばしていきました。
「オファーは想像力と度胸」とよくいわれるのですが、あなたも想像力をフルに働かせ、度胸をすえたオファーを作ってみてください。
強いオファーの3つの事例
ここでは、強いオファーの例を3つ紹介します。
強いオファーの例1:Forced Continuity
まず、「Forced Continuity」というオファーです。これは、初月を無料にして、翌月から毎月継続課金にするものです。
例えば、動画配信サービスのNetflixは、初月はお試しとして無料で利用できますが、最初にクレジットカードの情報を登録をさせます。そして、2か月目からは解約をしない限り、強制的に毎月料金が引き落とされていきます。これが、Forced Continuityです。
非常に強力なオファーなので、スタートアップ企業でよく使われる手法です。
強いオファーの例2:Buy 2 Get 1 Free
次は、「Buy 2 Get 1 Free」です。これは、2つ買ったらもう1つ無料というオファーです。
よくスーツ屋に行くと、スーツを2着買うともう1着無料だったり、3着目が1000円だったりというオファーを行っていますよね。あれがBuy 2 Get 1 Freeです。
強いオファーの例3:Lifetime Membership
最後は、「Lifetime Membership」です。これは、サービスが続く限り、生涯ご利用できますというオファーです。
デジタルコンテンツを継続課金で販売しているビジネスでは、このオファーを取り入れているところが結構あります。毎月いくらというのではなく、一括で大きな金額をチャージするのです。その代わり、サービスが続く限りは一生利用できるという権利を与えます。
デジタルコンテンツであれば原価がかからないので、生涯利用してもらってもリスクが低いですよね。それに、最初に大きな現金を手にできるのでメリットが大きいのです。
しかし、ニュースレターを送る場合などは、印刷代や送料がリスクになるので、管理費として年間にいくらかチャージするという契約にするといいでしょう。
これらのオファーは実際によく使われているものなので、効果が実証されています。もし、競合がまだ取り入れていないのであれば、使ってみるといいかもしれません。
ジム・コブズによる99 通りのオファー
DRMの世界では、オファーといえばアメリカのジム・コブズによる99 通りのオファーというものが有名です。ダイレクトメールを使った通販業などのために考え出された99通りのオファーなのですが、オンラインマーケティングでも十分応用できるものです。
最後にジム・コブズによる99 通りのオファーを紹介したいと思います。
以前は日本郵便のホームページに掲載されていたのですが、現在はなぜか削除されてしまっているようです。そのため、PDFをダウンロードできるようにしておきますので、ジム・コブズの99通りのオファーを一読して、盗めるもの、参考にできるものがないか探してみてください。
上で見た強いオファーの3つの例やジム・コブズの99通りのオファーを参考にして、あなた自身でユニークなオファーを考えてみてください。
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