リサーチはセールスコピーを書くうえで、とても大事なプロセスです。コピーライティングでは「ベネフィットライティング」という技術を使いますが、これもリサーチなくして成り立ちません。リサーチを行わずに書いたコピーは、誰の心にも刺さらない、誰の感情もゆさぶらない、つまり「売れないコピー」に仕上がってしまうのです。
この記事では、セールスコピーライティングにおけるリサーチや、リサーチによって生み出されるベネフィットライティングなどについて学べます。
まず、リサーチとは何かというところから始めて、なぜリサーチが必要なのかということを理解しましょう。その後に、具体的なリサーチのやり方やベネフィットライティングの書き方などを学んでいきます。
目次
セールスコピーライティングにおけるリサーチとは
セールスコピーライティングにおけるリサーチとは何でしょうか? 何をリサーチするのでしょうか?
セールスコピーとは商品やサービスを売るために書く文章です。しかし、ただ紙やパソコンの前に向かっても、何を書けばいいかわかりませんよね? なぜなら、コピーを書くために必要な情報が何もないからです。
まず必要な情報は、誰に対して書くのかということです。このブログを読んでいるあなたなら「商品がたくさん売れた方がいいから、世の中の人全てに対して書けばいい」とは当然考えませんよね? そうです、ターゲティングが必要なのです。誰をターゲットにするのか、誰に対して売るのか、まずその情報が必要です。
次に、何を売るのかということも知らなければいけません。もちろん、あなたの商品を売るのですが、あなたは自分の商品のことをどの程度知っていますか?
どのようなスペックや機能があり、それがお客さんにとってどのようなベネフィットをもたらすのか、それらをしっかり認識しておかなければいけません。対面営業でも、できる営業マンは自社の商品について誰よりも調べています。
他にも、競合の情報も必要でしょう。なぜなら、あなたがいかに自社の商品が素晴らしいかを力説したとしても、他社でもっと良い条件で似たような商品を販売していたら、お客を奪われてしまうからです。そのため、他社の商品や価格などの情報もリサーチする必要があります。
このように、「お客さんは誰か?」「商品のベネフィットは何か?」「ベネフィットを証明する証拠はあるのか?」「競合のオファーはどのようなものか?」「最近、話題になっているニュースはないか?」「市場のトレンドはどうなっているか?」ということを、コピーを書く前に調べるのがリサーチの作業です。
このような情報集めるために、セールスコピーライターは入念なリサーチを行います。これらの情報がなければセールスコピーは書けませんし、想像で書いたとしても売れるコピーにはならないからです。
「リサーチなくしてセールスコピーは書けない」ということを覚えておきましょう。
なぜコピーライティングにはリサーチが重要なのか
ここでは、なぜリサーチが重要なのかということを、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
最初に質問ですが、セールスコピーと小説のもっとも大きな違いはどこにあると思いますか? 文章を書くうえで、最大の相違点はどこでしょうか?
セールスコピーと小説とが大きく異なるというのは感覚としてわかると思いますが、文章を書くという意味では同じですよね。ただ、セールスコピーを書くときと、小説を書くときの頭の中の思考は全く異なります。
答えは、小説は自分自身でストーリーを考えなければいけませんが、セールスコピーは自分で考えなくてもいいということです。
むしろ、セールスコピーを書くときは、自分の頭で考えてはいけません。なぜなら、セールスコピーは100年以上前から優秀なコピーライターたちによってテストが繰り返されてきたので、今では売れるセールスコピーの型というのがわかっているからです。
セールスコピーとは、その決まった型に情報を当てはめていく作業なのです。だから、基本の型は考えなくてもいいので、その分情報を集めることに注力しなければいけません。情報を集めるということが、すなわちリサーチなのです。
コピーライティングの4割はリサーチに費やす
ボクたちはリサーチに十分な時間を割かなければいけません。セールスコピーライティングをプロセスごとに分解すると、「リサーチ」「ライティング」「編集」の3つの作業に分けれらます。
そして、コピーライティング全体にかける時間の40%をリサーチに費やすのが理想的です。例えば、10日間でコピーを1本書くとしたら4日間、1週間で書き上げるとしたら3日間ほどをリサーチに費やすことになります。それほど、リサーチは重要なのです。
あとの4割をライティングに、残り2割を編集に費やします。これが、一般的なコピーライティングのプロセスです。
セールスコピーには決まった型があるからこそ、そこに当てはめる情報がコピーの良し悪しを左右します。そのため、確かに大変な作業ではありますが、面倒くさがらずに、入念なリサーチを行うように心がけましょう。
3C分析(リサーチ)を行う
それでは、具体的にどのようなリサーチを行うべきか、見ていきましょう。
まず、3C分析にについて解説します。マーケティング環境を分析する手法として、3C分析というものがあります。3C分析とは、「自社(Company)」「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」の3つについてリサーチをする手法です。3つの頭文字をとって3C分析と呼びます。
3C分析は大企業のマーケティングでも行われていますが、セールスコピーライティングのリサーチにも応用できるものです。ボクたちも、もちろん3C分析を行う必要があります。
自社(Company)分析
まず、自社(Company)の分析を行います。自社の分析といってもセールスコピーライティングのリサーチでは複雑なものではありません。あなたの商品やサービスについてリサーチすればいいのです。
具体的には、自社の商品やサービスのスペックと、そのスペックがお客さんにもたらすベネフィット、そのベネフィットが嘘ではないという証拠の3つを分析します。このように、自社分析では商品やサービスの「スペック」「ベネフィット」「証拠」の3つをリサーチするのです。
顧客・市場(Customer)分析
次に顧客・市場(Customer)の分析です。ここでは、見込み客の頭の中をリサーチします。見込み客がどのようなことを考えていて、どのような欲求をもっているのかということを調べるのです。
この作業がリサーチ全体で最も大切な部分といえるでしょう。なぜなら、お客さんのことを知らなければ、商品の正しい訴求方法がわからないからです。正しい訴求方法を知るために、このリサーチが必要なのです。
他にも、最近起こった大きなニュースや、市場のトレンドもリサーチしておくといいでしょう。人間の脳はニュースに反応しやすいように作られているので、見込み客の関心をひきたい場合に、ニュースを活用できるからです。
競合(Competitor)分析
最後は競合(Competitor)の分析です。具体的には、競合のオファーをリサーチします。
オファーとは価格や割引、特典、保証などを含めた取引条件全てのことです。オファーはセールスにおいてリストに次ぐ2番目に重要な要素です。そのため、競合がどのようなオファーをしているのかを調査して、それよりも魅力的なオファーを打ち出さなければいけません。
※オファーについては以下の記事で詳しく解説しています。
とくにオンラインビジネスでは地理的な商圏がありませんので、あなたが北海道に住んでいて、競合が沖縄に住んでいたとしても、見込み客はワンクリックでそれぞれのオファーを見比べることができます。だから、見込み客を奪われないためにも、競合のオファーを知っておくということは重要なのです。
以上のように、セールスコピーライティングのリサーチは、自社の商品やサービスのリサーチ、見込み客と市場のリサーチ、競合のリサーチの3つを軸に行っていきます。
商品リサーチ1:ベネフィットライティング
それでは、具体的なリサーチの方法を解説していきます 。
まず、3C分析の自社(Company)分析から始めていきます。最初は商品リサーチです。商品リサーチでは何をリサーチするのでしょうか。それは、商品ベネフィットを調べるのです。
商品ベネフィットをリサーチするには、ベネフィットライティングという手法を用います。ベネフィットライティングとは、最初に商品のスペックを書き出し、そのスペックをベネフィットに変換していくという作業です。
なぜこの作業を行うのかを理解するには、見込み客のニーズについて考えなければいけません 。見込み客が商品を買う理由は何でしょうか 。その商品が欲しいからでしょうか。いいえ違います。見込み客が欲しいのは商品そのものではなく、商品を買ったことで得られるベネフィットです。
例えばコーヒーを買うビジネスパーソンを考えてみましょう。ビジネスパーソンが仕事中にコーヒーを飲みたいと思うのは、喉が乾くからでしょうか。コーヒーの味を味わいたいからでしょうか。
違いますよね。眠気を覚ましたいから、あるいは頭をスッキリさせて仕事に集中したいから、コーヒーを飲むのです。
また他の例でいえば、Instagramがあります。なぜ若い女性の間でInstagramがこれほど流行ったのでしょうか。「インスタ映え」を狙って写真を投稿する女性の心理はどのようなものなのでしょうか。
それは、「いいね」をたくさんもらいたいからだと思います。では、なぜ「いいね」をもらえるとうれしいのでしょうか。一つは「共感してもらえた」と思うからでしょう。女性は男性に比べて、他人から共感されたいという欲求が強いようです。
もう一つ大きな理由は、承認欲求を満たしたいというものです。嫌な言い方かもしれませんが、「インスタ映え」の写真を投稿することで、「リア充な私」を演出したいという欲求があるのだと思います。
女性に限らず男性もそうですが、人間誰しも承認欲求を満たしたいという気持ちがあります。男性が高級車に乗りたい、あるいは高級腕時計を身につけたい理由も、承認欲求あるいは自己顕示欲を満たしたいという欲求に根付いているのです。
このように、消費者が何か商品を買う場合は、その商品が欲しいわけではなく、その商品を購入することで得られるベネフィットを求めているのだといえます。そのため極論を言ってしまえば、ベネフィットさえ得られれば、商品はなくてもいいのです。
何もなくても常に頭がスッキリしていて仕事に集中できるのであれば、コーヒーを飲む必要はないですし、何もしなくても承認欲求が満たせるのであれば、インスタ映えも高級車も要りません。 ボクたちは皆ベネフィットが欲しいのです。
そのため、セールスレターには商品のスペックではなくベネフィットを書かなければいけません。しかし、商品のスペックがわからなければベネフィットを導くこともできませんよね。
だから最初にスペックを調査し、そのスペックをベネフィットに変換していくという作業を行います。これがベネフィットライティングです。
ベネフィットライティングの例:ノートパソコン
それでは事例を見ながら、ベネフィットライティングについて詳しく学んでいきましょう。 ここではノートパソコンの例を用います。
まず、ノートパソコンのスペックを書き出していきます。 例えば、商品ホームぺージに「重さ1.25kg、厚さ15.6mm」と記載されているとします。これがスペックです。しかし、このスペックを見ただけでは、何が良いのか想像ができません。そのため、このスペックをベネフィットに変換します。
重さ1.25kg、厚さ15.6mm。「だから、バッグに入れてもかさばらないし、一日中持ち歩いても疲れない」と言わなければないけません。
このようにスペックをベネフィットに言い換えてあげれば、見込み客が頭の中で自らベネフィットを考えなくてもいいので、商品の良さがダイレクトに伝わるようになります。見込み客に考えさせないということが大事です。
また、スペックをベネフィットに変換する場合は、「だから、なんなんだ?」という質問をすると掘り下げることができます。「だから、○○できるんです」という答えがベネフィットになるからです。
同じように、CPU:Core i7、メモリ:16GBというスペックがあるとすれば、「だから、動画編集がストレスなくサクサクできます」とベネフィットに変換していきます。
ディスプレイ解像度3840×2160。「だから、映画やドラマを美しい4K画質で視聴できます」。バッテリー最大12時間持続。「だから、カフェで仕事をする時にコンセントの電源を探さなくても大丈夫」。これがスペックをベネフィットに変換する、ベネフィットライティングのやり方です。
このようにして、商品リサーチでは、商品のベネフィットをリサーチしていきます。
商品リサーチ2:6つの証拠
商品ベネフィットのリサーチが終わったら、次は「証拠」をリサーチします。証拠をリサーチしなければいけない理由は、見込み客に提示したベネフィットが本当かどうかを証明するためです。
消費者の目は厳しいので、ただベネフィットを謳(うた)うただけでは、誰も信じてくれません。「うまいことばっかり言ってるけど、それって本当なの?」と最初は疑われるのが普通です。そのため「本当ですよ。なぜなら○○だからです」というように、証拠を示さなければいけません。
そこで今度は、証拠をリサーチして集める作業をしていきます。証拠として有効なものは、次の6点です。
- お客様の声
- 有名人・権威者の推薦
- 商品デモ
- 商品や店舗、オフィスの写真
- マスメディアへの露出(TV・ラジオ・雑誌など)
- 経歴・実績
お客様の声
6つの中でも最強の証拠はお客様の声です。
Amazonやグルメサイトがなぜあんなにも多くの商品レビューを載せているかというと、見込み客が他人の意見を参考にして購買を決定していると気付いたからです。
とくにオンラインでは顕著ですが、ネットショッピングをする際、あなたも他人のレビューを見るのではないでしょうか? ボクもよく他人のレビューを見てから買い物をします。
人は、商品を買ってから後悔したくないので、他人が実際に体験した感想を購入前に知りたいのです。そのため、「この商品を買ってとても良かった」というお客様の声は、ベネフィットを証明する最強の証拠となります。
有名人・権威者の推薦
お客様の声と同様に、有名人やその道の権威者の推薦も同じ役割を果たします。
例えばワインを選ぶ際に、有名なソムリエが推薦しているワインであれば、安心して購入できますよね。そもそも、お客さんの代わりにワインをチョイスするのは、ソムリエの仕事の一つでもあります。
テレビCMに有名人が出演するのも、この効果を狙っているからです。商品に関係のない人物でも、有名人が宣伝すれば、なぜか人々は良い商品だと信じてしまいます。
このように、推薦の声も効果抜群なので、もし身近に有名人やその道の権威者がいるのであれば、「推薦の声」をもらえないかお願いしてみましょう。
そのような人が身近にいない場合は、権威者に近づくという手段があります。例えば、あなたの業界の権威者がセミナーやコンサルティングなどを行っているのであれば、お金を払って顧客になることで、権威者に近づくことができるでしょう。
そして、コミュニケーションをとっているうちに、顔や名前を覚えてもらうこともできます。ある程度信頼関係が築けたところで推薦のお願いをしてみれば、引き受けてもらえる可能性があるでしょう。
しかし、これにはある程度のお金と時間がかかります。そこで、もっと手っ取り早く権威を借りたい場合は、書籍を利用するという手もあります。その業界の権威者が書いた書籍を引用して、「この本にも○○が良いと書いてあります」というように利用するのです。
例えば、あばたが健康サプリを販売しているとしましょう。この場合、有名な医師の書籍を引用して「この本にもサプリに含まれている○○という成分が身体に良いと書いてあります」と言うことができます。
実際には、薬事法の関係でどこまで言及していいのかはちゃんと調べなければいけませんが、そのような方法もあるということを覚えておきましょう。
商品デモ
商品デモもとても良い証拠となります。通販番組やスーパーマーケットでなぜ実演販売を行っているのかというと、あれ自体が商品デモだからです。包丁を売る通販番組で、実際に野菜をスパスパ切って見せているのがありますよね? あれは、証拠を示しているのです。
視聴者は実際によく切れている場面を見ることができるので、言葉で「よく切れます」と言われるよりも断然効果的があります。もし、あなたの商品がデモができるようなものであれば、ぜひ活用してみてください。
商品や店舗、オフィスの写真
商品や店舗、オフィスの写真というのも、証拠の一つです。インターネットでは実物の商品を見られないので、消費者は常に不安であるということを覚えておいてください。商品の写真を掲載するだけで、反応がまったく変わります。
あなたも、オンラインで何か買い物をするときに、商品の写真がなければ不安になりますよね? ボクの場合は、商品写真がなければ基本的に買いません。そのため、必ず商品写真を掲載するようにしてください。
PDFや動画などの形のない商材であれば、イメージ画像を作成しましょう。ノウハウをまとめたデジタルコンテンツの場合は、Amazonなどを見ながら書籍の表紙を参考にして、イメージ画像を作成するといいと思います。
自分で作成できない場合は、ランサーズやクラウドワークスなどでクリエイターに依頼すれば、低価格で高クオリティの商品画像を制作してくれます。
また、店舗やオフィスの写真というのも、見込み客に安心を与える証拠の一つです。「実際に店舗があるんだ」「ちゃんとオフィスがあるんだ」ということを知るだけで、「詐欺やあやしい業者じゃないんだな」と安心を与えることができます。
注意点としては、きれいな写真を使うことです。汚い店舗やちらかったオフィスであれば、逆効果になってしまいますので、しっかりブランディングを考えて写真撮影をしましょう。
マスメディアへの露出(TV・ラジオ・雑誌など)
マスメディアの露出(TV・ラジオ・雑誌など)ですが、これは少しレベルが高いですね。ほとんどの人がテレビや雑誌などに載ったことがないと思いますので、基本的には使うことの少ない証拠です。
しかし、もしあなたが何かしらマスメディアに取り上げられたことがあるのであれば、インパクトが大きいので、必ず証拠として載せるようにしましょう。
経歴・実績
最後の経歴・実績も良い証拠です。見込み客は商品を売っている人が信頼できる人物かを見ています。そのため、「これまでにこのような実績がありますよ」と示すことで、信頼を得ることができます。
例えば、「書籍を出版したことがある」「ブログが月間数十万PVある」「今まで累計で何個売れている」など、出せる実績は全て出しましょう。
書籍に関しては、現在は電子書籍であれば誰でも簡単に制作することができるので、ノウハウをまとめたものを電子書籍化して、実績にしてしまうというのも一つの手です。
以上のように、商品リサーチでは、ベネフィットの信頼性を担保する「証拠」を集めることもとても重要です。
「お客様の声」「有名人・権威者の推薦」「商品デモ」「商品や店舗・オフィスの写真」「マスメディアの露出」「経歴・実績」。これら6つをリサーチするように心がけましょう。
顧客リサーチ1:ペルソナ
自社(Company)分析が終わったら、次は顧客・市場(Customer)分析を行います。まず、顧客のリサーチから始めていきましょう。
顧客リサーチが、リサーチ作業全体の中で一番大事なプロセスです。なぜなら、見込み客のことを知らなければ、ボクたちはどのように訴求をすればいいかわからないから。
痩せている人にダイエット商品は売れませんし、免許を持っていない人に車は売れません。見込み客のことを知らなければ、効果的なセールスはできないのです。
それでは、顧客リサーチでは何をするのかというと、まずペルソナを設定します。ペルソナとは、あなたの理想的な顧客、もしくはそれに近い人物のことです。ターゲットとする顧客像と言ってもいいでしょう。まずはペルソナを一人だけ選び出し、その人物について詳しくリサーチを行っていきます。
よく、ペルソナを想像で作り上げてもいいという話を聞くかもしれませんが、なるべく実在の人物をペルソナに設定することをおすすめします。なぜなら、実在しない人物であれば、インタビューができないからです。インタビューができなければ、本当の意味で顧客の考えを知ることができません。
そのため、「30代女性」「30代男性」「東京で働くOL」「生命保険の営業マン」などの抽象的なペルソナではなく、「矢島二郎。33歳・独身・東京都在中。生命保険のフルコミッションの営業マン。自社商品の購入歴あり」といったように、実在する人物をペルソナに選ぶようにしましょう。
ペルソナの理想的な人物は、あなたの商品をすべてを買ってくれている既存客です。いわゆる、あなたの商品のファンのことですね。そして、文句を言わずに実践してくれる人。自分を変えたいと思っている人。あなたの商品とマッチする悩みを抱えている人、などが理想的でしょう。
もし、まだ一度も商品を販売したことがなければ、将来あなたの顧客になりそうな人、もしくは、それに近い知人をペルソナにするのがいいと思います。想像で作り上げるよりかは、その方がはるかにマシです。
また、どうしてもペルソナになるような人を見つけられない場合は、5年前の自分をペルソナにするという方法もあります。
5年前のあなたが悩んでいたことは、あなた自身が一番理解していますよね。現在のあなたなら解決できる問題でも、5年前であればどうしていいかわからなかったことがあると思います。そのような過去の自分をペルソナに設定するのも一つの手です。
もちろん5年前でなくて3年前でも構いませんが、解決策がわからず悩んでいた過去の自分を深く思い出すことが大切です。
まずはペルソナを一人だけ選び出す作業を行ってください。
顧客リサーチ2:BDF
ペルソナが決まれば、実際に顧客リサーチを始められます。顧客リサーチとはつまり、ペルソナに対してインタビューをする、もしくはアンケート調査を行うということです。
だからペルソナは想像ではなく、実在の人物でなければいけなかったんでしたね。顧客に対して直接インタビューをすることにより、顧客の頭の中をリサーチするのです。
それでは、どのような内容をインタビューすればいいのでしょうか? ここで行うのはBDFリサーチというもの。BDFリサーチとは、「Belief」「Desire」「Feeling」の頭文字をとったものです。
Beliefは顧客の思い込みや常識、信じ込んでいることです。Desireは顧客が望んでいること。欲望や避けたいと思っている恐怖などです。Feelingは顧客が感じていること。嬉しさや楽しさ、怒り、悲しみ、悔しさなどです。これらをリサーチすることによって、見込み客の頭の中を覗くことができます。
しかし、人間の頭の中は、はっきりと境界線があるわけではないので、どれがBeliefで、どれがDesire、どれがFeelingと厳密に区別する必要はありません。同じような答えが返ってきても構いませんので、BDFを全てしっかりインタビューすることが大切です。
例えば、先ほどペルソナに設定した、生命保険のフルコミッション営業を行っている矢島二郎さんのBDFを考えてみましょう。
まずBeliefでは、「保険営業は人に嫌われると思い込んでいる」とします。
その場合、セールスレターの中で「あなたは、保険営業は人に嫌われると思っていませんか? もし人に好かれ、感謝されながらできる営業手法があれば知りたいと思いませんか?」といえば、まさに自分のことだと感じるので、注意をひきつけることができます。
Desireでは、「売り込み営業から反響営業に変えたい」と望んでいるとします。
その場合、「もう自分から電話をかけたり、メールやDMを送ったりする必要はありません。お客さんの方から保険に入りたいと言ってくる、そんな環境が待っています」といったフレーズを入れれば、見込み客は食いつくはずです。
Feelingでは、「保険営業は話をする前に断られるので悔しい」という感情を持っているとします。
その場合、「「保険」というワードを出しただけで、具体的な話をする前に断られて悔しい思いをしたことはりませんか? でも、話の入口で「あるフレーズ」を入れるだけで、相手から話を聞かせてくれと頼み込んでくる魔法の言葉があります」といったつかみを入れることができます。
人はそれぞれ、さまざまな想いを持っています。「女にモテたい」「キレイになりたい」「恥をかきたくない」「英語ができるとかっこいい」「株式投資は危ない」「マーケティングはアメリカが最先端」「毎日3食ごはんを食べるべき」「1日8時間睡眠が最適」など、いろいろなBDFがあります。
ペルソナのこのようなBDFをしっかりリサーチすることで、反応率の高いセールスコピーを書けるようになるのです。
もう一度言いますが、全てのリサーチ作業の中で、顧客リサーチが最も重要です。実際にインタビューやアンケートを取らなければいけないので、確かに面倒くさい作業だと思います。しかし、ここを怠けずにしっかりリサーチを行うようにしましょう。
もし過去の自分をペルソナにするであれば、当時の気持ちを深く思い出しながら自分自身で実際にアンケートに記入していくと、客観性を高めることができます。
市場リサーチ:ニュースとトレンド
3C分析のCustomer分析には、顧客リサーチの他にもう一つあります。それは、市場リサーチ。ここでいう市場リサーチとは、あなたがターゲットとする市場のニュースやトレンドをリサーチするということです。
100年以上も前に、ジョン・E・ケネディというコピーライターが「広告とは印刷されたセールスマンだ」と定義しました。でも実は、それ以前は「広告とはニュースだ」といわれていたのです。
そのくらい、人はニュースが好きで、反射的にニュースに反応してしまうということです。あなたも、スマホでYahoo!ニュースやLINEニュース、Twitterなどをついつい見てしまうと思います。それは、人の脳がニュースに反応するようにできているからです。
ということは、ニュースにからめてセールスコピーを書けば、読者の注意をひきつけることができます。コピーライティングでまず重要なことは、読者にコピーを読ませることです。大半の人は、読んでも買わないのではなく、読むことすらしません。
だからボクたちは、まず「読まない」という壁を突破する必要があります。そこで役に立つのがニュースやトレンド情報です。
例えば最近のニュースでいえば、新型コロナウィルスの流行や、少し前では平成から令和への改元、政治経済では米中貿易戦争や消費税10%への増税などがありました。
例えばあなたが、投資関係のコンサルや株式投資系のノウハウ商材を販売しているとしましょう。この場合、「新型コロナウィルスによる株式相場の暴落から資産を守る方法があるのですが…」といったように、新型コロナウィルスが株価に与える影響をフックにキャッチコピーを作ることができます。
トレンドに関しても、例えばマーケティング関係のトレンドを考えてみると、動画広告やUdemy、個人事業主のマーケティングオートメーションなどがあります。このようなトレンドもキャッチコピーやフックに活用できるでしょう。
例えば、「Wordpressの使い方も知らない私でも、個人でマーケティングオートメーションを実装できるって本当ですか?」といったように、マーケティングオートメーションが気になっている人の注意をひくキャッチコピーをつくることができます。
対面営業を行っている営業マンが、毎日のように経済新聞や業界紙を読んでいる理由は、営業トークのとっかかりを見つけるためです。
「こんな面白いニュースがありますよ」というところから話に入り、セールストークにつなげていきます。同じようにセールスレターでも、ニュースやトレンド情報は話のとっかかりをつかむのにとても有効です。
あなたもターゲット市場のニュースやトレンドを必ずリサーチしておくようにしましょう。
競合リサーチ1:直接競合と間接競合
顧客・市場(Customer)分析が終わったら、次は3C分析の最後、競合(Competitor)分析です。
競合リサーチの具体的な話をする前に、競合には2種類あるということを知っておいてください。2種類とは、直接競合と間接競合です。直接競合とは、自社と同じ商品を同じ見込み客に販売している競合のことです。間接競合とは、自社と違う商品を同じ見込み客に販売している競合のことです。
例えば、牛丼の吉野家の直接競合は、同じく牛丼を販売している松屋やすき屋です。間接競合にはマクドナルドやラーメン屋などがあります。
お昼に吉野家で牛丼を食べようと考えている人は、強いこだわりがないかぎり、松屋やすき屋でも牛丼を食べる可能性があるでしょう。同じ見込み客に同じく牛丼を販売しているので、これは直接競合です。
また、お昼ご飯は牛丼以外にも選択肢がたくさんあります。同じくらいの価格帯であれば、マクドナルドで食べてもいいですし、ラーメンを食べてもいいでしょう。コンビニ弁当だってあります。このような、同じ見込み客に異なる商品を販売している競合が間接競合です。
セールスコピーライティングの競合リサーチでは、基本的には直接競合のリサーチが重要です。しかし、間接競合をリサーチしていると斬新なアイデアを得られることがあります。とくに間接競合の訴求ポイントを見ておくと、良いヒントが得られるかもしれません。
例として、あなたが英語学習の教材を販売しているとします。そして、あなたの英語教材はビジネ英語を教えるものだとしましょう。ということは、ターゲットとしているペルソナはキャリアアップを考えているビジネスパーソンですよね。この場合、間接競合はどのようなものが考えられるでしょうか?
キャリアアップを考えているビジネスパーソンは上昇志向が強いことが想像できます。言い方を変えれば自分にストイックな人ではないでしょうか。
例えば、このペルソナが33歳の男性だったとします。そして、実際にこのペルソナにインタビューをして、他にどのようなものを購入しているか聞いてみると、体を鍛えるためにパーソナルジムに通っていることがわかったとしましょう。ということは、そのパーソナルジムは間接競合だといえます。
そして、そのパーソナルジムの広告コピーを見てみると、「できる男は体を鍛えている」「筋肉のある男はかっこいい」といったようなメッセージでした。このメッセージの裏に隠されている訴求ポイントは、「かっこよくなりたい」「かっこよくなって女にモテたい」といった心理ではないでしょうか。
長くなりましたが、つまり、この「かっこよくなりたい」「女にモテたい」という訴求ポイントを、英語教材を販売するときにも使えるということです。
「英語ができる男はかっこいい」「英語ができる男は女にモテる」。直接的にこのような表現を用いなくても、これらの訴求ポイントを匂わせるような表現をセールスコピーに盛り込むことで、見込み客に響くコピーを書くことができるようになります。
次からは主に直接競合のリサーチについて解説しますが、間接競合をリサーチしておくことで、このようなメリットがあることを覚えておいてください。
競合リサーチ2:オファー・訴求ポイント・販売方法
それでは、競合リサーチでは、具体的にどのようなことを行っていくのでしょうか。ここでは主に、直接競合のリサーチについて解説していきます。
直接競合のリサーチでは、「オファー」「訴求ポイント」「販売方法」の3つをリサーチしてます。
オファーとは、見込み客に提示する取引条件全てのことでしたね。例えば、価格や割引、特典、保証、アフターサービスなどです。
訴求ポイントとは、間接競合のところでも触れましたが、見込み客のどのような気持ちにアピールしているのかということです。悩みや問題、願望、感情などですね。
例えば男性であれば、「かっこよくなりた」「女にモテたい」といった願望を持っている人はたくさんいるでしょう。このように、競合が見込み客のどのような気持ちに訴求しているかをリサーチします。
販売方法とは、どのようなプロセスで商品を売っているのかということ。例えば、メルマガで見込み客を育成してから販売しているのか、資料請求をさせてから販売しているのかといったことです。
化粧品通販などでは、サンプルを請求させてから定期購入を勧めるといった手法がよくとられます。資格や投資系の教材では、セミナーで見込み客を集めてからバックエンドで講座やスクール、コンサルの販売を行うというのも一般的です。
このように、業界や商材によって、セオリーとなる販売方法があるので、それをリサーチします。
そして、ここからが重要なのですが、基本的には訴求ポイントと販売方法は、競合と同じで問題ありません。差別化を図らなければいけないと思っている人がいますが、ここでは必要ありません。むしろ、同じ方がいいのです。
なぜなら、競合は、とくに業界でリーダーとなっているような競合は、膨大な費用をかけてマーケティングを行っているからです。そのため、どのような訴求ポイントでどのような販売方法を行えば最もよく売れるのかということが分かってます。
そしてボクたちは、競合がお金をかけてリサーチしてくれたやり方を真似ればいいのです。もちろん、まったく商品が売れていない競合の真似をしても意味がないので、業界のリーダーや、成長している企業の真似をするといいでしょう。
どのような競合をリサーチするのかというと、あなたの分野で継続して広告を出し続けている企業がいいでしょう。広告を出し続けられるということは、その分売上が上がっているということだからです。
例えば、あなたがサプリメントの販売をしているとしましょう。そして、競合がまず見込み客にサンプルを請求させてから、メルマガで育成しセールスに繋げているとしたら、あなたも全く同じ方法で販売を行うのです。
このあたりの話は、実はDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の話なのですが、セールスコピーライティングはDRMの一部として機能するので、ぜひ覚えておいてください。
競合分析ではオファーのリサーチが最も大事
競合リサーチで最も重要なのはオファーです。オファーに関しては、競合より強くなければいけません。オファーの内容が競合よりも弱ければ、見込み客を奪われてしまいます。
なぜ競合リサーチを行うのかといえば、競合のオファーをリサーチして、競合よりも魅力的なオファーを作るためといっても過言ではありません。
とくに競合との比較においては、価格が最も重要です。これは、まだあなたの商品を一度も買ったことがない見込み客が相手の場合の話ですが、あなたや、あなたの商品をよく知らない見込み客は、他社の類似品と見比べてから購買を決断します。
だから、オファーが競合より強くなくてはいけないのですが、仮にオファーの内容が競合とほとんど同じだった場合、最終的に大きな購買決定要因となるのは価格です。
つまり、オファーの他の要素が競合と同じであっても、競合より安ければ売れるということです。しかも、ものすごく価格を下げる必要はありません。競合より安ければいいのです。
こういうことを書くと、「結局価格か。値下げするならバカでもできるし、利益がでないじゃん」と思う人がいます。でも、これはフロントエンド(顧客に最初に売る商品)の話です。フロントエンドは顧客を獲得することが目的で、利益を出すことが目的ではありません。
利益はバックエンド(同じ顧客に2回目以降に売る商品)で作っていきます。つまり、フロントエンドを購入した顧客に対して、次に販売する商品で利益を得るのです。
バックエンドでは、他社と比較されることなく販売できるので、高い価格でも売ることができます。しかし、フロントエンドで価格の高い商品を売ることはとても難しいのです。そのため、まずは低価格のフロントエンドを購入してもらって、見込み客から顧客になってもらうというプロセスをとるのです。
極端な話、フロントエンドは赤字でも構いません。顧客を獲得できれば、バックエンドでその赤字を補ってあまりある利益を作ることができるからです。
ちなみに、フロントエンドは日本語で「集客商品」、バックエンドは「利益商品」といいます。このように、2段階のプロセスを経てセールスを行う手法を、2ステップマーケティングと呼びます。DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の肝となる戦略です。
※2ステップマーケティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
セールスコピーライティングは単独で学ぶよりも、DRMも一緒に学んだ方が効果的です。このブログではDRMも教えていますので、ぜひ他の記事にも目を通してみてください。
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