セールスコピーにはビッグアイデアが必要です。広告の父と呼ばれたデイヴィッド・オグルビーは次のように言っています。
すべての広告にはビッグアイデアが必要だ。ビッグアイデアのない広告は暗闇に浮かぶ船のようなもので、誰からも見つけられることはない
デイヴィッド・オグルビー
この記事では、ビッグアイデアとは何かというところから始めて、なぜビッグアイデアが必要なのかを解説します。その後に、具体的なビッグアイデアの作り方を5つの事例とともに学ぶことができます。
目次
セールスコピーにおけるビッグアイデアとは
セールスコピーにはビッグアイデアが必要です。ビッグアイデアとは、簡単にいうと「ありきたりなベネフィットを、新しく、面白く見せるアイデア」のこと。
多くの企業が消費者の関心をひこうと、さまざまなベネフィットを打ち出した広告を出しています。でも情報過多な現代社会では、人々は日々さまざまな広告にさらされているので、セールスコピーにも見飽きているのです。
そのため、単に広告やセールスレターでベネフィットを伝えただけでは、見向きもされません。そこで必要になるのがビッグアイデアです。
ビッグアイデアは、見込み客の関心をひくために、ベネフィットを新しい切り口で、もしくは面白い切り口で表現するコンセプトのことです。ビッグアイデアが見込み客の関心を捉えられれば、セールスコピーを読んでもらうことができます。
覚えておいてほしいのは、見込み客はコピーではなくアイデアを読んでいるということです。誰もセールスコピーなんて退屈なものを読みたくはありません。でも、アイデアが面白ければ、そのアイデアに興味をひかれてコピーを読み始めるのです。
そして、ビッグアイデアが具体的なかたちとして表現される場所がヘッドラインであり、キャッチコピーです。ビッグアイデアはキャッチコピーに集約されると言っていいでしょう。つまり、キャッチコピーでビッグアイデアを表現することにより、見込み客の関心をひくのです。
例えば、起業の方法を教えるオンラインスクールがあるとしましょう。このオンラインスクールは生徒を集めるために広告を出しています。広告のセールコピーは2種類あり、それぞれ次の2つのキャッチコピーが書かれているとします。あなたはどちらに興味を惹かれるでしょうか?
- たった一人で自宅にいながらネットで起業する方法
- 「MBAを取得する暇がなかった、自宅がビジネススクール代わりだったから」と、スタートアップ起業家
最初のキャッチコピーは、どこかで聞いたことがあるようなありきたりなコピーに感じませんか? この程度のキャッチコピーでは、現在では見込み客の関心を惹くことは難しいでしょう。
でも、二つ目のキャッチコピーならどうでしょうか? キャッチコピーがスタートアップ起業家のセリフになっている点や、ビジネススクールに通わずに自宅で起業の方法を学んだことをほのめかしている点など、意外性や面白みがありますよね。
また、ストーリー性も感じられて、次の文章が気になるのではないでしょうか。
このように、同じ商材で同じベネフィットであっても、ビッグアイデアがあるのとないのとでは、大きな違いがあります。セールスコピーライティングでは、見込み客の興味・関心を捉えるために、ビッグアイデアが欠かせないのです。
セールスコピーにビッグアイデアが必要な理由
それでは、なぜセールスコピーにはビッグアイデアが必要なのかを、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
まず、ボクたちが知っておかなければいけないのは、セールスライターには越えなければならない壁が3つあるということです。その壁とは、「3つのNOT」といわれるもの。3つのNotとは、「Not Read:読まない」「Not Believe:信じない」「Not Act:行動しない」です。
第一の壁は「Not Read、読まない」です。まず、ボクたちが一生懸命書いたセールスレターは、ほとんどの見込み客には読まれません。一生懸命書いても読まれなければ意味がありませんよね? でも読まれないのです。それが現実です。
ただ、あなたのセールスコピーが刺さるものであれば、一部の見込み客からは読んでもらえます。そして、一部の見込み客に読んでもらうことができればそれでいいのです。
第二の壁は「Not Believe、信じない」です。あなたが第一の壁、Not Readを突破して、見込み客にセールスコピーを読んでもらえたとしても、見込み客はあなたの主張を信じません。いくら魅力的なベネフィットが語られていたとしても、信じてもらうことは難しいのです。
だから、信じてもらうために、ベネフィットを保証する証拠を集めなければいけません。証拠とは、例えば「お客様の声」などです。
※ベネフィットを保証する「証拠」については、以下の記事で詳しく解説しています。
第三の壁は「Not Act、行動しない」です。あなたのセールスコピーが読んでもらえて、ベネフィットを信じてもらえたとしても、見込み客は行動しません。つまり、あなたの商品を買わないということです。
そこで、見込み客に行動させるために、魅力的なオファーを作らなければいけません。オファーの中でもとくに重要なのは、デッドライン(締め切り)を設けることです。デッドラインはNot Actを超えるための、最も強力な武器です。
※オファーについては以下の記事で詳しく解説しています。
そして、ビッグアイデアがなぜ必要なのかというと、第一の壁であるNot Readを超えるためです。コピーを読んでもらうためには、見込み客の関心をひかなければいけません。そして、セールスコピーでその役目を果たすのが、ヘッドラインでありキャッチコピーです。
先ほどビッグアイデアはキャッチコピーに集約されると書きましたね。だから、いかに新鮮な、もしくは面白いキャッチコピーを作れるかが、Not Readの壁を超える鍵となります。
勘違いしてほしくないのですが、ビッグアイデアはキャッチコピーだけに使われるものではありません。コピー全体を面白いコンセプトにするアイデアなので、ビッグアイデアに沿ってコピーの全体像を構成しなければいけません。その中で最も重要なのが、キャッチコピーだということです。
例えば、キャッチコピーを見た瞬間に「あ、これ系ね」「またこれか」と思われたらおしまいです。確実にそのコピーは読まれません。そのため、同じベネフィットであったとしても、いかに新鮮に見せるか、いかに面白く見せるかが問われるのです。
世の中のほとんどの商品は同じベネフィットを謳(うた)っています。つまり、「痛みを避ける」か「快楽を得る」か、どちらかのベネフィットなのです。
「腰痛を治せる」「痩せられる」「借金を返済できる」。これらは全て「痛みを避けたい」という欲求に根差したベネフィットです。反対に、「高級車が手に入る」「優良企業に転職できる」「異性にモテる」。これらは「快楽を得たい」という欲求に根差したベネフィットです。
これらのベネフィットを伝えるために、さまざまな表現方法を使い、見込み客の関心をひきつけるのです。しかし、その表現がどこかで見たこや聞いたことのあるようなものであれば、反応が弱くなります。
だから、同じベネフィットであっても、面白いコンセプトを打ち出すが重要です。だからこそ、セールスコピーにはビッグアイデアが必要なのです。
ビッグアイデアを作る6つのフォーマット
ここまでで、セールスコピーにおけるビッグアイデアの重要性が理解できたかと思います。それでは、どのようにビッグアイデアをつくればいいのでしょうか?
実は、ビッグアイデアにはフォーマットがあります。そのフォーマットとは、『アイデアのちから』という書籍で紹介されている「SUCCESs」というものです。
SUCCESsとは、次の6つの頭文字をとったものです。
- Simple:単純明快な
- Unexpected:意外な
- Concrete:具体的な
- Credible:信頼できる
- Emotional:感情に訴える
- Story:物語性のある
つまり、優れたアイデアは単純明快で、意外性があり、具体的で、信頼ができ、感情に訴えるもので、物語性があるということです。これら6つの要素を兼ね備えたアイデアであれば、見込み客の関心をひくことができるという、チェックリストのようなものともいえます。
それでは、『アイデアのちから』を引用しながら、一つずつ解説していきます。
Simple:単純明快な
まず、「Simple:単純明快な」とは、数字の1を意味します。つまり、1つのアイデアしか語らないということ。複数のアイデアを語るということは、何も語らないのと同じです。Simpleにするとは、1つに絞り込むことだと考えてください。
例えば『アイデアのちから』では、次のような話が取り上げられています。
アメリカのノースカロライナ州のダンという小さな町で、「デイリー・レコード」という地元新聞が発行されています。なんとその町での普及率は112%というから驚きです。
この新聞は地域重視を謳って成功を収めました。とくに、地元住民の名前を載せることにこだわっています。なぜなら、住民は自分の名前が載っていないか確認したくて新聞を読むからです。
この新聞の発行人に成功の秘訣を聞くと、理由は3つあると答えました。それは、「人名、人名、とにかく人名」だということです。つまり、最優先事項は地元住民の名前を新聞に載せること。要するに、人名を載せるという一つのアイデアに絞ることで、大きな成功を収めたのです。
Unexpected:意外な
次に、「Unexpected:意外な」ですが、意外性のあるものは単純に印象に残りやすいのです。ミステリードラマなどでも、最後に予想を裏切る大どんでん返しのエンディングがあると、記憶に残り、次の日に友人に話したくなりますよね。
『アイデアのちから』では、次のようなテレビCMの事例が取り上げられています。
エンクレーブという自動車のCMで、ミニバンに家族が乗り込みドライブに出かけるといったありきたりなものです。そこに、「エンクレーブ、それは究極のミニバンです」といったナレーションが入ります。
画面が変わり、父親が運転するエンクレーブが交差点で停止したところで、突然猛スピードの車がエンクレーブに向かって突っ込んできます。すると、徐々に画面が暗転し、次の文字が現れます。
「予想もしませんでしたか? シートベルトを締めましょう。どんなときも」
実は、これはミニバンのCMではなく、アメリカの広告協議会が制作した、交通事故の注意喚起のためのCMだったのです。このように、意外性のある話は記憶に残るものとなります。
Concrete:具体的な
3番目は、「Concrete:具体的な」ですが、抽象的な話より具体的な話の方が記憶に残りやすいものです。そのため、具体的な人名や場所、もしくは経験などをコピーに取り入れると、関心を集めることができます。
『アイデアのちから』では、アイオワ州の小学校教師のジェーン・エリオットの話が紹介されています。
彼女は、黒人運動家のキング牧師が暗殺された翌日に、白人ばかりの生徒たちに人種差別について教えるため、ある計画を実行しました。その計画とは、生徒たちを「青い目」と「茶色い目」に分けて、お互いに差別させ合うという試みでした。
ある日、エリオットは生徒たちに向かって「茶色い目の子供は、青い目の子供より優れている」と衝撃的な宣言をしたのです。すると、茶色い目の子供たちは、すぐに青い目の子供たちを見下すようになりました。
翌日彼女は、「自分は間違っていた。実は茶色い目の子の方が劣っていた」と宣言しました。すると、青い目の子供たちは歓喜を上げて喜び、今度は茶色い目の子供たちを見下し始めたのです。
彼女の生徒たちは、生涯を通じてこの経験を忘れませんでした。そのため、ほとんどの子供たちが差別意識の少ない大人に成長しました。具体的な話や体験というものは、強烈な力を持っているのです。
Credible:信頼できる
4番目は、「Credible:信頼できる」です。人々は信頼性の低い話は最初から聞こうとしません。しかし、信頼性のありそうな話であれば耳を傾けます。
『アイデアのちから』では、バリー・マーシャルとロビン・ウォーレンというオーストラリアの二人の医学研究者の話が取り上げられています。
1980年代前半に、彼らは「胃潰瘍の原因は細菌である」という重大な発見をしました。従来、胃潰瘍の原因は胃酸のたまりすぎだと考えられていたのですが、もし細菌が原因であれば抗生剤を投与すれば数日で完治するので、まさに大発見だったのです。
その細菌とは、ヨーグルトのCMなどでよく耳にする「ピロリ菌」です。しかし、当時は強力な胃酸のおかげで、胃の中では細菌は生きられないと考えられていました。また、ロビンは田舎の病院に勤務する病理学者で、バリーはまだ研究所の研修医であったため、学会では信じてもらえなかったのです。
そこで、バリーは自らが実験台となり、10億個のピロリ菌の入ったグラスの水を飲みほしました。すぐに痛みと吐き気をもよおす胃炎になりましたが、抗生剤を一定期間服用し、見事完治してみせたのです。
これにより、胃潰瘍の原因がピロリ菌であるということが、徐々に認められ始めたのでした。つまり、本当の話であっても信頼性がなければ、誰も信じません。しかし、信頼性が増した途端に、人々は耳を傾け始めます。だからこそ、信頼性を高めるような証拠が重要なのですね。
Emotional:感情に訴える
5番目は、「Emotional:感情に訴える」です。人が何かものを買うときは、感情に動かされています。
節約しなければと思っていても、ついつい必要のないものを買ってしまうのは、感情の方が理性より大きなパワーを持っているからです。人は衝動買いをしてしまったあとで、何かしらの理屈をつけて、自分を正当化します。
感情に訴えることの重要さを、『アイデアのちから』では、次のような事例で解説しています。それは、貧しい国の人々への寄付のお願いを、2つのパターンで行うというものです。
一つは、統計的な表現を使って行います。例えば、「エチオピアでは、1,100万人の国民が緊急食糧援助を必要としています」といった具合です。
もう一方は、ひとりの少女について語られるものです。「寄付金はすべてロキアという少女に贈られます。ロキアはアフリカのマリに住む7歳の少女。極貧生活を送り、深刻な飢えに脅かされています」といった具合です。
そして寄付額を比べてみると、ロキアへの寄付をお願いした方が、エチオピアの1,100万人への寄付のお願いより、2倍以上もの寄付金を集めました。
つまり、人々は感情を動かされたのです。統計的な数字は理性に訴えますが、感情には響きません。そのため、いかに感情に訴えるようなコピーを書けるかが重要になります。
Story:物語性のある
最後は、「Story:物語性のある」ですが、物語性のあるコピーは強力です。物語性のある話は人々の脳裏に深く刻まれるからです。
これまでボクが紹介してきた『アイデアのちから』の物語は、どれも印象に残るものだったのではないでしょうか? セールスコピーにも物語性を取り入れることで、見込み客の関心をひくことができます。
人々は物語が好きなので、物語の冒頭を聞くと、続きが気になるようになるんですね。例えば、記事の最初の方で、以下の2つのキャッチコピーを示しました。
- たった一人で自宅にいながらネットで起業する方法
- 「MBAを取得する暇がなかった、自宅がビジネススクール代わりだったから」と、スタートアップ起業家
二つ目のキャッチコピーには、物語性が感じられますよね? そのため、続きが気になり、次の文章を読んでもらうことができるのです。
以上、ビッグアイデアのフォーマットである「SUCCESs」を解説してきました。ビッグアイデアを考える際には、この6つの要素が入っているか確認することで、見込み客をひきつけるコンセプトを作り出すことができます。
次の章からは、セールスコピーに効果のある5つのビッグアイデアを紹介しています。
ビッグアイデア1|スター・ストーリー・ソリューション
それでは、ここから代表的なビッグアイデアを解説していきます。最初は「スターストーリーソリューション」です。
スターストーリーソリューションとは、元々冴えない人間が、ヒーローに成長していくストーリーのことをいいます。
例えば、映画『スパイダーマン』の主人公は元々冴えない学生でしたが、特殊なクモに噛まれることで突如ヒーローに変身します。これがスターストーリーソリューションです。
シンデレラのストーリーも同じですね。シンデレラは父親が再婚した継母と、その連れ子である2人の姉に召使いのように扱われていました。王子様の舞踏会にも連れていってもらえません。
しかし、そこに突如魔女が現れ、かぼちゃの馬車やガラスの靴を用意し、シンデレラをお城の舞踏会に連れていってくれます。そして、そこで王子様に見染められたことがきっかけで、最後は王子様と結婚するという話でした。
これも典型的なスターストーリーソリューションです。人々はスターストーリーソリューションが好きなので、多くの小説や映画がこの型に沿って書かれています。
そして、この型はセールスコピーにも応用できます。この型を使った最も有名なコピーが「ピアノコピー」。ピアノコピーとは、伝説のコピーライターと呼ばれるジョン・ケープルズが書いた、音楽学校の通信講座に勧誘するための広告コピーです。
私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると──!
というヘッドラインから始まるコピーですが、セールスコピーライティングを少しでも勉強したことがあれば、聞いたことがあるかもしれませんね。それほど有名なもので、後にさまざまな広告でパクられた名コピーです。
要約すると、ピアノなんて弾けるわけがないと馬鹿にされていた主人公が、いざピアノの前に座ると素晴らしい演奏をして、周りを驚かせるというストーリーになっています。このアイデアは約100年前に最初に使われたものですが、現在でも色あせることなく、ビジネスで通用するものです。
あなたもこのアイデアをパクってキャッチコピーを作ることができます。例えば、ダイエット商品のキャッチコピーであれば、次のように刺さるコピーを作ることができます。
私が夏までに7kg痩せると言うとみんな笑った。でも8月の浜辺で水着姿を見せると──!
他にも、起業のための講座を販売する場合は、次のように活用できます。
私が会社を辞めて起業すると言ったらみんな笑った。でも翌年同窓会で社長名義の名刺を取り出すと──!
勘違いしないでほしいのですが、ビジネスの世界ではパクることは悪いことではありません。むしろ、まだ誰も試していない、成功するかどうかわからないアイデアで勝負をするよりも、すでに成功が確認されているアイデアを使った方が勝率が高くなります。
だから、ビジネスにおいてはパクるということは正しい戦略なのです。とくにピアノコピーのような古典は、時の洗礼を受けて現在まで生き残っているものなので、それだけ効果が高いということでもあります。スターストーリーソリューション、ぜひあなたも真似してみてください。
ビッグアイデア2|こんな間違いをしていませんか?
次の代表的なビッグアイデアは、「こんな間違いをしていませんか?」です。このビッグアイデアは、広告の巨人と呼ばれるマックスウェル・サックハイムが書いた次のコピーに由来しています。
あなたは英語でこんな間違いをしていませんか?
これは英語教材、日本でいうところの国語教材を売るための広告コピーです。彼はこのキャッチコピーから始まるセールスレターを使って、なんと40年間英語教材を売り続けたのです。これほど長きに渡って反応を取り続けたコピーは、後にも先にもないと言われています。
つまり、このアイデアをパクってセールスコピーを書けば、反応が取れるものになる可能性が高いのです。例えば、筋トレを教えるトレーニングビデオを販売するセールスコピーを書く場合は、次のように使えます。
あなたは腹筋の割り方でこんな間違いをしていませんか?
腹筋を割ろうと一生懸命筋トレをしている人にとっては、スルーできないコピーですよね。また、ジュエリーショップの広告コピーで、次のように書いてあれば、世の男たちは「ハッとする」のではないでしょうか。
あなたは彼女へのプレゼント選びでこんな間違いをしていませんか?
「こんな間違いをしていませんか?」も優れたビッグアイデアですので、ぜひ活用してみてください。
ビッグアイデア3|2人の男のストーリー
次のビッグアイデアは、「2人の男のストーリー」です。
これは1974年から17年間使われ続けた、ウォールストリートジャーナルのセールスレターで使用されたものです。17年間で約1000億円稼いだといわれています。一つのアイデアで1000億円も売るという大成功事例を生み出しました。
では、このセールスレターの冒頭部分を見てみましょう。
25年前の美しい春の夕暮れ時、二人の若者が同じ大学を卒業しました。彼らはとてもよく似ていました。ふたりとも平均的な学生よりも成績がよく品格もあり、将来に向け情熱的な夢に満ちていました。
最近、この二人は25回目の同窓会で大学にやってきました。彼らは相変わらずとても良く似ていました。ふたりとも幸せな結婚をしていました。また、ふたりとも子供が3人いました。更にわかったことですが、ふたりとも卒業後は同じ中西部のメーカーに勤めて今もそこで働いています。
しかし違いもありました。一人はその会社の小さな部署の管理職でした。しかしもう一人は社長でした。何が違いを生じさせたのでしょうか?
この後に、このような違いを生じさせる要因は「知識の差である」というように続きます。
つまり、このレターで何が言いたいのかというと、「貴重な知識を得るためにはウォールストリートジャーナルを読んだ方がいいですよ」ということです。決して直接このような言い方はしないのですが、そのように匂わせるんですね。
このアイデアも何度もパクられていますし、もちろん今後も使えるアイデアです。例えば、40歳前後の女性に向けて、基礎化粧品を売るためのセールスレターを書くとした場合、次のように活用することができます。
18年前の美しい春の夕暮れ時、二人の女性が同じ大学を卒業しました。彼女たちはとてもよく似ていました。ふたりとも平均的な学生よりも美しく品格もあり、男子学生から人気がありました。 最近、この二人は18回目の同窓会で大学にやってきました。彼女たちは相変わらずとても良く似ていました。ふたりとも幸せな結婚をしていました。また、ふたりとも15歳の娘がいました。更にわかったことですが、ふたりとも娘と一緒に同じ美容院に通っていました。 しかし違いもありました。一人は美容師から「お母さま」と呼ばれていました。しかしもう一人は「お姉さま」と呼ばれていました。そう、娘と姉妹だと勘違いされていたのです。何が違いを生じさせたのでしょうか?
いかがでしょうか? もしあなたが、子どもを持つ40歳の女性なら、なぜ一人は年相応に母親として見られているのに、もう一人は若くお姉さんとして見られていたのか、気になるのではないでしょうか。
このように、「2人の男のストーリー」を活用すると、強力なセールスレターを作ることができます。ぜひ、活用してみてください。
ビッグアイデア4|ニュース記事風
続いてのビッグアイデアは「ニュース記事風」にするというものです。昔は「Copy is news」といわれていたほど、ニュースは人の注意関心をひきつけます。あなたもYahoo!ニュースやLINEニュースなどをついつい見てしまいますよね。
そのため、ニュース記事風のコピーにすることで、見込み客の注意をひき、ニュースを読んでいるかのように読み進めてもらうことができるのです。
ここでは、『最強のコピーライティングバイブル』と『ザ・コピーライティング』という有名なコピーライティングの書籍から、ニュース風の記事を引用しています。
まずは、『最強のコピーライティングバイブル』に載っている次のコピーです。
日本初 ”野菜の力” でLDLコレステロールを下げる
これは健康食品のコピーですが、あたかも医学的な発見があったかのような、ニュース記事風のコピーとなっています。
次は、『ザ・コピーライティング』に載っているニュース記事風のコピーです。
発見――髪が生えてくるすばらしい方法
これは、おそらく育毛剤かなにかのコピーだと思いますが、これも新発見があったかのように匂わせるものとなっています。
このように、「日本初」「発見」などからキャッチコピーを始めると、ニュース記事風のコピーを作ることができるのです。
この2つのコピーを応用すると、例えば次のようなコピーが作れます。
日本初 ”Udemyの力” で1万人のリストを構築
Udemyはレクチャー動画を販売するためのマーケットプレイスですが、これはUdemyをリスト構築に利用するという方法を提唱しているコピーです。Udemyについてあまり詳しくない人にとっては、ニュース性のある話題に感じますよね。
次は、結婚相談所などのビジネスを想定したコピーです。
発見――33歳以上でも年収600万円の男性と結婚できる方法
なぜ33歳以上、年収600万円という数字を使ったかというと、次のようなニュース記事を読んだからです。
実は、結婚相談所に相談にくる男性の多くが32歳以下の女性を求めていて、相談に来る女性の多くが年収600万円以上の男性を求めているというのです。つまり、33歳以上の女性は年収600万円以上の男性と結婚するのは難しく、逆もまたしかりだということでした。
そこで、33歳以上の独身女性をターゲットに先ほどのコピーを書けば、何か新たな発見があったのかと思いコピーを読んでもらえる確率が上がりますよね。
このようにコピーをニュース記事風にすると、売り込みではなく、ニュースを読むような感覚でコピーを読んでもらうことができるのです。
ビッグアイデア5|招待状
最後に紹介するビッグアイデアは、「招待状」です。
ここでは、アメックスのセールスレターを紹介します。アメリカン・エキスプレス・カードの勧誘に使用されたセールスコピーで、12年間にわたり使われ続け、1,000億円以上の売上を上げたといわれているものです。
まずは、セールスコピーの冒頭部分を読んでみましょう。
率直に言って、アメリカン・エキスプレス・カードは全ての人のためのものではありません。また、お申込みいただいた方全員が会員になれるわけでもありません。
しかし、私たちはこのカードメンバーシップがあなたの役に立つ事を確信致しましたので、今回、旅行、バケーションやエンターテイメントにご利用頂ける、最も名誉ある、一流の金融商品の特別招待状を同封いたしました。
このコピーの特徴は「排他性」を強調していて、「特別な顧客のみ招待しているんですよ」と顧客をおだてていることです。そのため、初めてあなたの商品を買う見込み客に対してというよりも、一度あなたの商品を購入したことがある既存客に向けて使うと効果があります。
つまり、フロントエンドではなく、バックエンドを販売するときに適したセールスコピーです。
例えば、あなたがオンラインで英語教材を販売していたり、オンラインスクールを運営したりしている場合は、次のように活用することができます。
率直に言って、この英会話オンラインサロンは全ての人のためのものではありません。また、お申込みいただいた方全員が会員になれるわけでもありません。 しかし、私たちはこのオンラインサロンがあなたの役に立つ事を確信致しましたので、今回、TOEIC600点以上の人だけがご利用いただける、名誉ある一流英会話サロンの特別招待状をお送りしました。
あなたの英語教材を一度購入したことがあり、さらにTOEIC600点以上の顧客であれば、まさに自分に向けられた招待状だと思うでしょう。また、特別扱いをされている気がして、気分がよくなるはずです。
そしてこのサロンに入会すれば、優秀な人たちの仲間入りができると思うでしょう。感情が高揚するので、このオファーはかなり断りにくくなるはずです。
このように、排他性をアピールした「招待状」のアイデアを活用すれば、とても強力なコピーを作ることができるようになります。
以上、セールスコピーに効果的な5つのビッグアイデアを紹介しました。5つのビッグアイデアの中で、あなたのビジネスに適したものがあれば、ぜひ活用してみてください。
海上真澄 says
初めまして!出版業を手掛けている海上と申します。
DRMについて調べているときにこちらの横山さんのブログに辿り着きました。
繰り返し拝読しているのがこのビッグアイディアのページがとてもわかりやすく、ついメッセージを送らせていただきました。
引き続き内容をたくさん読み込んで勉強させていただきます!
いつもありがとうございます!
横山 允彦 says
いつもブログを読んでいただきありがとうございます!
今後とも、よろしくお願いします!