セールスファネルはDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の中で要となる概念です。新規でビジネスを立ち上げる際には、まずセールスファネルを描くことから始めます。緻密なセールスファネルを描き、構築することができれば、あなたのビジネスは飛躍的に成長するでしょう。
この記事では、まずセールスファネルとは何か、なぜ必要なのかを理解できます。その後に、利益を最大化させるセールスファネルの作り方を学ぶことができます。
目次
DRMに必須のセールスファネルとは何か?
セールスファネルとは、この図の逆三角形の形をしたもののことです。ファネルとは日本語で漏斗(ロウトやジョウゴと読む)と呼ばれるもので、液体などを口の小さな容器に入れる際に使うもの。
そのファネルをセールスのプロセスに例えたものがセールスファネルです。つまり、大きく見込み客を集めて、セールスを繰り返していく中で顧客がふるいにかけられ、段々と数が少なくなっていく過程を表す概念を意味します。
例えば上の図で見ていくと、最初に無料オファーがあります。無料オファーにより2,000人の見込み客を集めました。この2,000人の見込み客に対してフロントエンド(最初に売る商品)をセールスします。すると、200人の人がフロントエンドを購入し、顧客となりました。
次に200人の顧客に対してバックエンド1を売ります。すると40人がバックエンド1を購入しました。さらにバックエンド2をセールスし8人が購入し、最後にバックエンド3を売り2人が購入しました。
※フロントエンドの後に売る全ての商品をバックエンドと呼びます。フロントエンドとバックエンドについては以下の記事を参照ください。
最初2000人いた見込み客が、最終的にバックエンド3を購入した2人の顧客にまで数が減りました。このように、フロントエンドとバックエンドをセールスすることで、顧客をふるいにかけていく過程を描いたのがセールスファネルです。
なぜ、セールスファネルを構築する必要があるのかというと、顧客をファン化するためです。顧客はセールスファネルの下に行けば行くほど、商品や会社に対する忠誠心が高くなっていきます。つまり、ファンになるということです。
Appleには、iPhoneの最新版など新製品が発売されるたびに、前日から店頭に並ぶ人たちがいますよね。彼らはApple信者と呼ばれ、Appleの製品であれば無条件で購入します。彼らのようなファンがいるとビジネスは安定します。
そのため、DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)は見込み客をセールスファネルの下に連れていく作業ともいうことができるのです。
セールスファネルを描くと利益が最大化する理由
セールスファネルは下に行くほど顧客の人数が少なくなっていきますが、実は下に行くほど利益は大きくなっていくのです。
無料オファーは見込み客を集めるために無料で商品を渡すので、利益は上がりません。フロントエンドは安い価格で販売するので売上は小さくなります。それにフロントエンドは集客商品なので、本来利益を出さなくていいのです。
バックエンド1からようやく大きな利益が出始めます。そして一番下のバックエンド3では、最も価格と価値の高い商品を販売するのです。そのため、バックエンド3で最も利益が大きくなります。
ちなみに、最下層のバックエンドでは人的サービスが最適です。コーチングやコンサルなどですね。時間と手間がかかりますが、高額な報酬をチャージできますし、顧客に大きな価値を提供できます。
このような最下層にいる顧客はあなたのファンです。なぜなら、ここまで辿り着くまでにあなたの商品を全て購入しているのですから。そのため、あなたやあなたの商品に対する忠誠心がとても高い人々です。
コーチングやコンサルを行えば、コミットメントが高い人々なので成果を出すのが早いという特長もあります。
だから、最終的にあなたが時間や労力を注ぎ込むのは、このファン層の人たちだけでいいのです。ファン層の人たちとだけ付き合っていけるビジネスを構築できれば、最小限の労力で最大限の利益を上げることができます。
また、ファン層の顧客とはジョイントベンチャー(JV)を行うことも可能です。
例えば、あなたがオンラインで英語教材を販売しているとします。そして最終的なバックエンドは個別レッスンだとしましょう。この個別レッスンを受けている顧客の中にはとても成果を出している人がいるはずです。
この場合、今度はあなたは彼、彼女と一緒に英語ビジネスを立ち上げることができます。例えば、この顧客がTOEICで900点台を持っているような人であれば、TOEICのスコアを伸ばす方法を教えられるでしょう。
そこで、あなたの顧客がTOEICの教材を作り、あなたは教材の作り方やマーケティングなど、英語ビジネスを立ち上げるためのノウハウを提供します。このようにして二人で新たなビジネスを立ち上げることが可能なのです。
このように、セールスファネルでは下に行けば行くほど利益が大きくなるように仕組みを構築することができます。
セールスファネルの例を見てみよう
それではいくつかセールスファネルの例を見てみましょう。ここでは2つ例を示します。
TOEICオンラインコースのセールスファネル
これはTOEICオンラインコースのセールスファネル例です。
まず、無料オファーは「TOEIC頻出単語e-book」です。そして、フロントエンドが「TOEIC800点突破コース」、バックエンド1が「TOEIC模試解説コース」、バックエンド2が「TOEICパート7特化演習コース」、最後のバックエンド3が「個別Skypeレッスン」となっています。
最初に無料オファーで頻出単語e-bookをオファーして見込み客を集めます。その後フロントエンドで、TOEIC800点を突破するために必要な内容を全てカバーした総合コースをオファーし、顧客化するのです。フロントエンドで最も魅力的な商品を提供することがキモです。
そして、バックエンドでは模試解説コースや特化演習コースのような、実践的で個別具体的な内容の商品をオファーします。最後に人的サービスである個別Skypeレッスンを販売するという流れですね。
TOEICコースのようなオンラインスクールを運営する場合は、このようなセールスファネルを描くことができます。
経営コンサルティングのセールスファネル
次に、経営コンサルティング業のセールスファネル例をお見せします。
まず、フロントエンドで書籍や電子書籍を販売します。次に、バックエンド1で「オンラインコース」を販売。例えば「オンラインマーケティング講座」とかですね。
そして、バックエンド2で「セミナー」を開催し、会場に受講者を集めます。その後、セミナー会場で受講者に対してバックエンド3として「個別コンサルティング」を販売するのです。最後は、バックエンド4としてコンサル生と「ジョイントベンチャー」を行うという流れになります。
このように、オンラインからセミナーなどのオフラインに誘導していくというのは実際によく用いられる手法です。オフラインの良いところは、成約率が高いことです。
つまり、オンライン上で個別コンサルを販売するよりも、セミナーなどの対面で販売した方がよく売れるんですね。この場合は、個別コンサルを売るためにセミナーを開いていると言ってもいいでしょう。
あなたも、ぜひご自身のセールスファネルを描いてみてください。
セールスファネルを構築すれば、セールスを自動化できる
一度セールスファネルを構築してしまえば、セールスを自動化することができます。ダイレクト・レスポンス・マーケティングとマーケティング・オートメーションはとても相性がいいのです。
どのように自動化するかというと、ステップメールを使います。ステップメールとは、メルマガ登録日や初回購入日などを起点として、あらかじめ準備していた複数のメールをスケジュールに沿って順次配信する仕組みです。
例えばこの図のように、次のようなステップメールを組むことができます。
- ステップメール1:無料オファーで集めた見込み客に対してフロントエンドを販売するためのメールを送る
- ステップメール2:フロントエンドの購入者に対して、バックエンド1を販売するためのメールを送る
- ステップメール3:バックエンド1の購入者に対してバックエンド2を売るためのメールを送る
- ステップメール4:バックエンド2の購入者にバックエンド3を売るためのメールを送る
もちろんメールだけでなく商品ごとのセールスページも必要になりますが、あらかじめ全てのメールやセールスページを準備しておくことにより、一連のセールスの流れを自動化することができるのです。
そのためには、セールスファネルに沿ってステップメールを組んでいかなければなりません。現在ではMailChimpなどのメルマガツールを使えば、簡単にステップメールを組むことができます。
最初は大変かもしれませんが、もし集客からセールスを全て自動化する仕組みを作ってしまえば、あなたのやる仕事はファン層の顧客とのやりとりだけになります。
そうなれば、労働時間は急激に減っていくので、その分あなたは自由な時間を手に入れることができるのです。その自由な時間を使って本を読んだり、映画を見たり、家族と旅行に行ったり、ボランティア活動をしたりすることができます。
また新たなビジネスを立ち上げるのもいいでしょう。これがセールスファネルを描き、自動化していくことの最大のメリットなのです。
セールスファネルはLTV(顧客生涯価値)を向上させる
ここで少し視点を変えて、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの本質を示す2つの指標について考えてみましょう。
その2つの指標とは、CPOとLTVです。
CPOとはcost per orderのことで、一人の新規顧客を獲得するためにかかる費用のこと。つまり、広告費などの販促費を獲得顧客数で割った数字です。
CPOが下がれば下がるほど利益は大きくなります。なぜなら、一人の顧客を獲得するのに3000円かかる場合と300円かかる場合では、その差額だけ利益が変わってくるからです。
だから同じ広告費であっても、いかに多くの新規顧客を獲得できるか工夫することが重要になります。そのためにはCVR(コンバージョンレート)、つまり成約率を高める施策を打ったり、無料で見込み客を集める施策を行ったりしなければなりません。
もう一つの指標はLTVです。LTVとはlife time valueのことで、日本語で顧客生涯価値といいます。これは、一人の顧客が一生涯にもたらしてくれる粗利益の平均額のことです。
当然、LTVが上がれば上がるほど利益は大きくなります。そのため、LTVを上げるために複数バックエンドを用意したり、高額商品や継続課金の商品を販売したりするのです。
なぜこの2つの指標が重要なのかというと、CPOよりLTVが大きければ商売が成り立つからです。例えば、新規顧客一人を獲得するのに、広告費が3000円かかったとしても、一人の顧客が生涯に3万円の粗利益をもたらしてくれるのなら儲かりますよね。
そのため、ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、いかにCPOを下げて、LTVを上げるかといったことを考えるのです。
そして、セールスファネルの構築はLTVを上げることに貢献します。究極的には、セールスファネルに沿ってCPOを下げる施策とLTVを上げる施策を行っていくことが、ダイレクト・レスポンス・マーケティングだと言えるのです。
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