リード獲得で重要な施策はさまざまありますが、最初に取り組むべきなのはポジショニングです。
適切なポジショニングができれば、見込み客はあなたをその道の専門家であると認識し、あなたのメッセージに耳を傾けるようになります。この記事では、ニッチ市場での魅力的なポジションの作り方を学ぶことができます。
目次
マーケティングに必須のポジショニングとは
ポジショニングとは見込み客から見た自社の立ち位置のことです。ポジショニングがユニークでないと、見込み客はあなたやあなたの商品に見向きもしません。
いま、ボクたちはコミュニケーション過剰の時代を生きています。家の中にいても外にいても、広告を見ない日はありません。ボクたちは常に広告にさらされているのです。スマホを常に携帯しているので、ついついネットニュースやFacebook、LINE、Twitter、Instagramなどを見てしまいます。
ビジネスの現場では、メールのチェックや返信で多くの時間を取られているのではないでしょうか。一説によると、現代人が集中できる時間はわずか8秒しかないということです。
確かに仕事をしていても、メールが来る、携帯が鳴る、同僚に話しかけられるなどして、本当にやらなければいけないことになかなか集中できませんよね。
そのため、見込み客の注意を引き付けるためには、一瞬で相手の興味をひかなければいけません。「自分は他の人とはこう違うんだよ」ということを一瞬で理解してもらわなければならないのです。
だからこそポジショニングが重要になってきます。例えば、ライザップイングリッシュのように、ただの英会話レッスンではなく、「TOEICスコアにフォーカスしたパーソナルトレーニング」だと言わなければいけません。
ポジショニングで重要な5つの考え方
ここで、ポジショニングについての重要な考え方を5つ挙げます。
- なんでもできるは何もできないのと同じ
- 全ての人のための商品は誰のための商品でもない
- ターゲットを絞り込まなければならない
- 見込み客から見た自身の立ち位置を明確にする
- 独自のカテゴリーを作り出す
つまり、ポジショニングとは、全ての人に向けたメッセージではなく、ある一定の人に向けたメッセージを発するということ。
これは言い換えるとターゲットを絞るということです。そう、ポジショニングとは、すなわちターゲティングなのです。実はポジショニングとターゲッティングは裏表の関係なんですね。同じものを違う方向から見ているだけだといえます。
また、最後の「独自のカテゴリーを作り出す」というのは、新しい分野という意味ではなく、あなた以外誰もいない、新たな切り口という意味です。
ポジショニングのポイントとなる5つのキーワード
そして、ポジショニングのポイントとなる言葉として、「局地戦」「小さなNo.1」「差別化」「比較を変える」「ターゲティング」というものがあります。
局地戦とは
局地戦とは、ターゲット市場を絞って、狭い範囲で競合と戦うといことです。大きな範囲で戦うと競合が多すぎて必ず苦戦を強いられます。しかし、狭い範囲であれば競合が少ないので、勝てる確率が上がるのです。
小さなNo.1とは
小さなNo.1というのは、ターゲットを狭い範囲に絞り、その中で1位になるということ。1位と2位とでは雲泥の差があります。よく例に出される話ですが、例えば日本一高い山は誰もが知っています。そう富士山です。しかし、2番目に高い山は何かと聞かれると、ほとんどの人が答えられません。実は、北岳という山なのですが、名前も聞いたことがないという人が大半ではないでしょうか。
このように、2位では誰にも注目してもらえません。そのため、狭い範囲でいいので、No.1になることが重要です。
差別化とは
そして、局地戦を戦いNo.1になるためには差別化が必要です。同じカテゴリーの中にあっても、「私と他の人たちとは違うんですよ」ということを示さなければなりません。まさしく、ライザップイングリッシュのように。とくに、独自のカテゴリーを作り出すことができれば強いです。
実はとても難しいのですが、まだ競合がいないような独自の切り口が作れれば、あなたはその時点でNo.1になれます。しかし、これには十分な需要があるという大前提がなければなりません。
比較を変えるとは
比較を変えるというのは高等技術なのですが、直接的な競合ではなく他のものと比べてもらうというものです。
例えば、あなたが健康サプリを販売していて、その成分の一つにがん予防の効果があるとしましょう。健康サプリは世の中にたくさんありますし、実は成分や価格はだいたいどこも同じようなものが多いです。
しかし、あなたがこの健康サプリを他の健康サプリとではなく、抗がん剤やがんの手術と比較すると話が変わってきます。抗がん剤やがんの手術はとても高価ですし、苦痛を伴います。しかし、それと比べると健康サプリは安いし、毎日カプセルを飲むだけと簡単です。
このように、がん予防という切り口で訴求すれば、比較対象が抗がん剤や手術に変わるので、イメージとして差別化ができます。実際には薬事法の関係でどのような表記ができるかボクには詳しくわかりませんが、このようなやり方が比較対象を変えるということです。
ターゲティングとは
最後のターゲティングとは、ここまで説明してきたことを総合した意味です。上述した内容を全てひっくるめて適切なターゲティングをすることが、ユニークなポジショニングに繋がります。
局地戦はランチェスター戦略から学ぶ
ポジショニングを作るには、局地戦を意識するのがポイントだと書きました。局地戦とは、実は弱者の戦略であるランチェスター戦略の一つです。ここでは、局地戦について詳しく説明していきます。
局地戦とはターゲットを狭い範囲に絞り、その中で競合と戦っていくということでした。それでは、具体的にどのように局地戦を行えばいいのでしょうか。これを考えるには、ランチェスター戦略について理解する必要があります。
弱者の戦略を構築する4つのステップ
ランチェスター戦略のメインとなる弱者の戦略を構築するにはいくつかのステップがあります。それは、以下の4ステップです。
- 差別化
- 一点集中
- 接近戦
- 小さなNo.1
詳しく見ていきましょう。
弱者の戦略構築ステップ1:差別化
弱者の戦略で、まず重要なことは差別化です。強者は圧倒的な物量で攻撃を仕掛けてきますので、まともに戦っては負けてしまいます。そこで、差別化を行うことにより、なるべく強者と競合しないように、競合範囲を狭めるようするのです。
例えばあなたが英語講師ならば、「TOEIC専門」「ビジネス英語専門」「幼児教育専門」「女性専用」など、さまざまな切り口を組み合わせて独自のポジションを作っていきます。
弱者の戦略構築ステップ2:一点集中
次に、一点集中です。自身のポジションを決めたら、その領域に1点集中します。つまり、全ての経営資源をその狭い領域に集中して投下するのです。
弱者の戦略3原則の一つである「競合局面に兵力数を集中させる」とは、まさにこの1点集中をすることといえます。
例えば、あなたがビジネス英会話専門のオンライン講師と決めたら、その領域だけにフォーカスするのです。ビジネス英会話なので、ある程度の英会話レベルにいる人が対象になると思います。そのため、日常会話もままならない初心者を相手にしてはいけません。
また、学生や主婦、シニア層など、ビジネスと関係ない人も対象外です。現役のビジネスパーソンのみを相手にして、そこに一点集中します。
つまり、「選択と集中」が大事なのです。選択と集中とは「専門化」とも言い換えられます。なんでもできるは何もできないのと同じでしたね。この領域で勝負すると決めたら、躊躇せず一点集中しましょう。
弱者の戦略構築ステップ3:接近戦
次に、接近戦です。弱者の戦略3原則の1つは、「局地戦・接近戦に持ち込む」です。接近戦とは、エンドユーザーに直接アプローチすることでしたね。
エンドユーザーと直にコミュニケーションを取ることで、正確なニーズをつかむことができます。そうすれば、適切な商品やサービスを提供することができるので、セールスが楽になるのです。そのため、顧客と密にコミュニケーションを図ることが大切です。
弱者の戦略構築ステップ4:小さなNo.1
最後は、小さなNo.1です。差別化して、1点集中し、接近戦を行うことの最初の目標は小さなNo.1になることです。
狭い範囲でNo.1になれば、観光客が他の山ではなく富士山に行くように、ターゲットとなる見込み客はあなたの商品を買うはずです。
見込み客に「ビジネス英会話専門のオンライン講師といったら誰?」と聞いたときに、あなたの名前が出てくるようになれば、ポジショニングは成功です。
しかし、これでも範囲が広いと思ったら、「システムエンジニアのためのオンライン英語講師」のように、ビジネス英語の中でもさらに範囲を絞っていき、No.1になるようにするのです。もちろん、需要があるという前提は忘れてはいけません。
以上が、弱者の戦略を構築するステップです。
ポジショニングでは大きな市場の一部を狙う
ポジショニングではターゲットを絞ることが重要だと書いてきましたが、一つ大きなポイントがあります。それは、大きな市場の一部を狙うということです。
これは「レッドオーシャンで勝負する」という意味でもあります。レッドオーシャンという概念は、「ブルーオーシャン戦略」からきています。あなたはブルーオーシャン戦略というのを聞いたことがあるでしょうか?
ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン戦略とは、競合ひしめく飽和市場であるレッドオーシャンを避けて、競合企業が手を出していない新市場であるブルーオーシャンを開拓し、そこで一人勝ちをするという戦略です。
レッドオーシャンとは赤い海、つまり血で血を洗う競争の激しい領域という意味。ブルーオーシャンは青い海、つまり競合相手のいない領域という意味です。
多くの起業家がブルーオーシャンを探そうと独自の切り口で新しいビジネスに挑戦しています。中には大成功を収めた企業もあります。しかし、実はブルーオーシャン戦略はかなり高度な戦略です。なぜなら、競合のいない領域を探すというのはとても難しいからです。
ブルーオーシャン戦略が難しい理由
ビジネスにおいては、実は儲かる分野というのはたいてい決まっています。例えば、10年前くらいから副業としてアフィリエイトが流行っていますよね。アフィリエイトとは、他社の商品を紹介して、売れた場合に売上の一部がもらえるというものです。今でも多くの人がブログやアフィリエイトサイトを作って、他人の商品を一生懸命紹介しています。
アフィリエイトを行ううえで最も重要なことは、商品選びです。売れない商品を選んでしまった場合、特別なセールススキルがない限りまず儲かりません。
そのため、クレジットカードなどの金融商品やプロテインやサプリなどの健康食品、脱毛、ダイエットなどの美容商品など、多くのアフィリエイターが同じような分野で戦っています。これらの商品群はレッドオーシャンだといえるでしょう。
でも、儲かるからレッドオーシャンになるのです。もし誰かがブルーオーシャンを見つけたとしたら、たくさんの競合がその市場に参加してきて、すぐにレッドオーシャンとなります。反対に、本当に競合のいないブルーオーシャンは、魚がいない、つまり需要のない市場である可能性が高いのです。
例えば、あながが英語講師としてブルーオーシャンで勝負しようと思い、トラック運転手のための英会話音声教材を作ろうと考えたとします。なぜなら、トラック運転手は長時間トラックの中で一人で過ごすので、ラジオや音楽の代わりに英会話学習の音声を聞いてもらえるはずだと思ったからです。
しかし、おそらくこれは売れないでしょう。なぜなら、トラック運転手は仕事で英語を使いませんし、英会話を勉強する必要性を感じないからです。彼らはきっとラジオや音楽を聴くことを好むのではないでしょうか。
ニッチの罠に注意する
このような現象をボクはニッチの罠と呼んでいます。ニッチの罠とは、ブルーオーシャンで勝負しようとニッチな市場にターゲットを絞りすぎて、需要がない市場に参入してしまうことです。そうではなく、レッドオーシャンで勝負し、大きな市場の一部を狙うのです。そのためには差別化が重要となります。
例えば、英会話という分野は需要が多いのでかなり大きな市場です。それに、ものすごい数の競合がいるので、レッドオーシャンだといえます。しかし、差別化を図ることで、この英会話という大きな市場の一部を取りに行くことは可能です。
例えば、「外資系社員のためのビジネス英会話」などとすれば、確実に需要がありそうですよね。
もしあなたが天才であれば、まだ誰も目をつけていないブルーオーシャンを見つけられるかもしれません。しかし、普通の人間であれば、レッドオーシャンで勝負する方が無難です。そして、ニッチの罠に気をつけて、大きな市場の一部を狙うことを意識してください。
ポジショニングの作り方|「顧客層」と「ベネフィット」で差別化する
次にポジショニングの作り方について考えていきましょう。ポジショニングを作るうえで最も大事なことは差別化です。つまるところ、他社と差別化して競合を避けるというのが、ポジショニングの肝なのです。
差別化をするには、大きく「顧客層」と「ベネフィット」の2つの軸で考えていきます。
「顧客層」とは、年齢、性別、職業、家族構成、所得、価値観、ライフスタイルなどです。
「ベネフィット」とは、どのような欲求や不満を抱えていて、どのような解決策を望んでいるかという部分です。
例えば、あなたがヨガ教室を経営しているとします。そして、他社のヨガ教室と競合を避けるために独自の切り口を探しているとしましょう。
この場合、まず顧客層での差別化を考えるとしたら、次のようになります。「30代既婚女性のためのヨガ教室」「出産後の女性のためのヨガ教室」「婚活中の女性のためのヨガ教室」「男性のためのヨガ教室」などですね。
反対にベネフィットでの差別化を考えた場合、次のようになります。「痩せたい人のためのヨガ教室」「健康な身体を手に入れたい人のためのヨガ教室」「ストレス解消をしたい人のためのヨガ教室」「美しくなりたい人のための世が教室」といった感じです。
これらを複数組み合わせて、独自の切り口を作り出すことが可能になります。しかし大事なのは、あれもこれも訴求したいとよくばらず、ある一点に強烈な願望を持っている人を狙い撃ちするということです。
ポジションをずらして比較対象を変える
ポジションをずらして比較対象を変えるというポジショニングのテクニックを説明していきます。
これは差別化の一種なのですが、比較対象を直接競合ではなく、他のものにずらすという考え方です。
例えば、あなたがオンライン英会話スクールを運営していて、ポジショニングをずらして直接競合を避けたいと考えているとします。その場合、例えば次のような切り口が可能です。
- オンライン英会話家庭教師
これは他社のオンライン英会話スクールではなく、英語の家庭教師と比較させるという切り口です。やっていることはオンライン英会話なのですが、家庭教師よりも気軽で価格も安いですよ、と言うことができます。
- 英語キャリアカウンセラー
英語を上達させることでキャリアアップを図っていくお手伝いをしますよということですね。これも、実質的にはオンライン英会話をやるということです。
- 外国人の恋人を作る
これは、外国人の恋人を作るには外国人とコミュニケーションを取れるようにならなければいけない。そのために、まず英語を上達させようという切り口ですね。やはりやることはオンライン英会話です。
- オンライン留学
昔、駅前留学という触れ込みで英会話スクールを運営している会社がありました。実際の留学ではなく、駅前の英語学校で留学するように英語を学びましょうということですね。これをオンラインにアレンジしたのがオンライン留学です。実際に「スマホ留学」という、スマホ一つで英語学習ができるというサービスを運営している会社があります。
このようにして、ポジションをずらすことで見込み客の比較対象を変えられます。直接競合を避けて、「これとくらべたらお得だよね」と思わせるテクニックでした。ポジショニングを作る上でとても効果があるので、あなたもぜひ取り入れてみてください。
有名企業の3つのポジショニング事例
ここでポジショニングの事例をいくつかお見せします。
Apple:Macのポジショニング
まずはApple社のパソコンであるMacのCMを見てください。
このCMは世界中で役者を変えて流された広告です。Appleが言いたいことは、Macはパソコンじゃないということです。他のパソコンよりも洗練されたオシャレな商品で、すでにパソコンではないと言いたいんですね。
実質的にはMacはパソコン以外の何者でもありませんよね。でも、Appleは見込み客に「あなたはパソコンを買いますか?それともMacを買いますか?」と独自のポジションで訴求しているのです。
再春館製薬所:ドモホルンリンクルのポジショニング
次に再春館製薬所のドモホルンリンクルのCMをお見せします。
このCMでは、「ドモホルンリンクルは30歳以上の女性のための化粧品ですよ」と言っています。つまり、このCMを見ても10代や20代の女性にはまったく響きませんが、30歳以上の女性には強く訴求できるのです。
ライザップのポジショニング
最後に有名なライザップのCMを見てみましょう。
このCMでは「2か月でこの身体」「結果にコミットする」と言っています。つまり、ただのトレーニングジムではなく2か月間で確実に肉体改造をしたい人に向けて訴求しているのです。Before&Afterを見せているので、とても説得力の強いCMですね。
このようにして、独自のポジションを作り上げ訴求することで、見込み客をひきつけることができるのです。
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