2ステップマーケティングという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 2ステップマーケティングはDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の基本であり、とても重要な戦略です。
この記事では2ステップマーケティングとは何か、また2ステップマーケティングに必要なフロントエンドとバックエンドとは一体何か、なぜ取り入れるべきなのかを解説します。また、フロントエンドとバックエンドをの作り方や、どのように活用していくのかを学ぶことができます。
目次
2ステップマーケティングに必須のフロントエンドとバックエンドとは
2ステップマーケティングとは、まず価格の安い商品を販売することで顧客を集め、その後に本命の商品(価格の高い商品)を販売し利益を最大化していくという、DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の戦略のことです。
ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、必ず2種類の商品を用意しなければいけません。それは、フロントエンドとバックエンドです。
フロントエンドとは集客商品
フロントエンドとは集客商品のことです。つまり、顧客を集めるためだけに販売する商品です。フロントエンドは集客が目的であり、利益を得ることが目的ではありません。そのため、フロントエンドで利益を出そうと考えてはいけないのです。
またフロントエンドは、一度も自社の商品を購入したことがない新規客に販売するものなので、とてもセールスのハードルが高いといえます。そのため、価格の安い商品が最適です。また、フロントエンドの売上はほとんど全て広告費で消えるので、高粗利である必要があります。粗利率80%以上が理想です。
バックエンドとは利益商品
バックエンドとは利益商品のこと。フロントエンドで集めた顧客に対して販売し、利益を作る商品です。バックエンドは、一度自社の商品を購入したことのある顧客に販売するので、フロントエンドに比べてセールスのハードルが低いといえます。そのため、高額な商品や継続課金の商品に適しているのです。
また、バックエンドは1つだけでなく複数用意し、できるかぎり何度もセールスを繰り返し、利益を最大化していきます。
例えば、スーパーマーケットのチラシを見ると、必ず目玉商品が載っていますよね。定価の半額であったり、70%オフであったりと、かなり安い値段で売られている商品があります。
あなたも「卵1パック98円」などというのを見たことがあるのではないでしょうか。これがフロントエンドです。お客さんは、この「卵1パック98円」を目当てにお店に来店します。
しかし、せっかくスーパーまで買い物に来たのだから、卵だけ買って帰るのはもったいない。そこで、ほとんどのお客さんは他の商品もついで買いしていきます。このついで買いされる定価の商品がバックエンドです。
なぜフロントエンドとバックエンドという2種類の商品を用意し、2ステップマーケティングを行うべきなのかというと、その方が儲かるからです。目玉商品を用意することにより、まずお客さんにお店に足を運んでもらえます。それにより、ついでに他の商品も買ってもらうことができるのです。
これはオンラインビジネスでも同じことがいえます。マーケティングで最も難しいのは新規客の獲得です。でも、新規のお客さんとの最初の取引で利益を出そうとするから難しいのです。そうではなく、まずは新規のお客さんに商品や自社のことを知ってもらい、それから長く取引をしてもらった方がいいでしょう。
このように2ステップマーケティングでは、フロントエンドでまず顧客を集めて、バックエンドを販売することにより大きな利益を作っていくのです。
フロントエンドでは利益を出してはいけない
フロントエンドは集客が目的なので、利益を出してはいけないと書きました。でも、利益が出たら出たでラッキーじゃないかと思うかもしれません。だって、集客もできて利益も出せれば一石二鳥じゃないかと思いますよね。
でも、フロントエンドで利益を出してしまうと、バックエンドも含めた最終的な利益が小さくなってしまうのです。その具体例を、この表を使って見てみましょう。
まず、2900円のフロントエンドを販売します。このフロントエンドで利益を出す場合と出さない場合の2つのパターンで考えてみましょう。
フロントエンドで利益を出す場合
まず、利益を出す場合から見ていきましょう。表の右側ですね。利益を出すために、広告費を商品1つあたり1400円に抑えます。すると1個あたり1500円の利益が出ます。そして獲得できた顧客数は500人でした。
ということは、500人×1500円で、フロントエンドの利益合計は75万円になります。
次に、フロントエンドの購入者500人に対して49000円のバックエンドを販売します。ちなみに、計算を簡単にするために、ここではバックエンドの利益率は100%とします。
そして、このとき成約率が10%だとしましょう。つまり、500人の10%である50人がバックエンド商品を購入しました。すると、50人×49000円でバックエンドの利益は245万円となります。そして、バックエンドの利益245万円にフロントエンドの利益75万円を足すと、全体の利益が320万円となりました。
フロントエンドで利益を出さない場合
次に、フロントエンドで利益を出さない場合を見てみましょう。広告費は1個あたり4400円かけたとします。先ほどの3倍以上ですね。するとフロントエンドの利益は1個当たりマイナス1500円となります。顧客数はやはり3倍以上の1800人獲得できました。おそらく実際はもっと獲得顧客数は多くなると思います。
すると、1800人× (-1500円)で、フロントエンドの利益の合計はマイナス270万円です。
そして、同じように1800人に向けて49000円のバックエンドを販売します。成約率は同じ10%なので、180人×49000円でバックエンドの利益は882万円になります。ここからフロントエンドのマイナス分の270万円を引くと、全体の利益が612万円となりました。
このように、フロントエンドで利益を出さなかった方が最終的には倍近くの利益額となりました。実際はバックエンドの販売は1回限りではないので、もっと差が出てきます。
まずはフロントエンドの利益を0円にするところを目指す
先ほどの表からもわかる通り、フロントエンドでは利益を出さずに、キャッシュフローの許す限り集客を行うことが最善の方法なのです。ただ、キャッシュフローの関係でフロントエンドでマイナスを出すのが怖いという気持ちもわかります。
そのため、まずはフロントエンドの利益を0円にするところを目指すといいと思います。ただ、フロントエンドで赤字を出す勇気があれば、最終的な利益は一番大きくなります。
フロントエンドの方がセールスの難易度が高い
フロントエンドとバックエンドでは、セールスの難易度が違います。フロントエンドは、まだあなたの商品を買ったことがない人、あなたのことを全く知らない人に販売するものです。また、見込み客は商品を競合と比較しているので、フロントエンドは常に競争に晒されています。
そのため、フロントエンドはセールスの難易度が非常に高いのです。そこで、フロントエンドは価格で売ります。つまり、競合よりも安い価格で見込み客に訴求するのです。
反対に、バックエンドは一度あなたの商品を買ったことがある人に販売します。また、バックエンドはメールなどで直接顧客にセールスができるので、競合と比べられる確率が低くなります。そのため、セールスの難易度が比較的低いのです。
また、顧客はバックエンドに関しては、そこまで価格を気にしません。それよりもどの程度価値があるのかということを気にします。だから、バックエンドは価値で売ります。いかに顧客にとってベネフィットがあるのかという点を訴求するのです。
フロントエンドは価格で売る。価格以外は競合と同じ方法で訴求する
フロントエンドは価格で売ると書きましたが、価格以外の部分はどうするのでしょうか。実は、フロントエンドは価格以外は競合と同じ方法で訴求するのです。
マーケティングには4P分析というものがあります。4つのPとはつまり、プロダクト=製品、プレイス=流通、プライス=価格、プロモーション=販促という意味です。フロントエンドでは、この4つのPの中でプライス、つまり価格以外は競合と同じ方法をとります。
例えば、あなたが化粧品のネット通販をしているとしましょう。競合がフロントエンドとして化粧品のお試しセットをPPC広告で販売して成功していたとします。この場合、あなたもフロントエンドとして化粧品のお試しセットをPPC広告で販売するのです。しかし、価格だけは競合より安く提供します。
これをやると最初は利益がマイナスになってしまうかもしれませんが、フロントエンドでは利益を出さなくていいので問題ありません。多くの顧客を集めることができれば、バックエンドで利益を出せるからです。
このように、フロントエンドは価格で売っていくのです。
フロントエンドとバックエンドを作るコツ
ここではフロントエンドとバックエンドを作るコツについて解説します。記事の最初の方でも書きましたが、フロントエンドは低価格な商品で利益率が高いもの、できれば粗利率80%以上が理想です。
バックエンドは高額な商品でも販売することができます。そのため、高額商品や継続課金の商品などが適しているでしょう。粗利率は50%以上あるといいと思います。
ここでは例として、オンラインでのTOEICレッスンの教材で考えてみたいと思います。デジタルコンテンツやオンラインコースといった商品は、ダイレクト・レスポンス・マーケティングと非常に相性がいいのです。
この図ではフロントエンドの前に無料オファーとありますが、ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、無料の商品で見込み客を集めてからフロントエンドを販売するという手法がよく使われます。
見込み客を集めるために用意する無料の商品が無料オファーです。リードマグネットとも呼ばれます。ここでは、無料オファーも含めて解説していこうと思います。
まず無料オファーとして見込み客に渡す商品ですが、例えば「TOEIC頻出単語のe-book」などがいいのではないでしょうか。ポイントは無料で渡せるものというところです。ここで原価がかかるものを渡すのは厳しいので、原価のかからないPDFや音声、動画などのデジタルコンテンツが最適でしょう。
次にフロントエンドですが、フロントエンドは理論的で包括的なものが良いと思います。例えば「TOEIC800点突破コース」のように、この教材1つで単語から文法、リーディングからリスニングまで、TOEIC800点を突破するのに必要な理論的な講義を網羅したものがいいでしょう。
なぜなら、TOEICを勉強したいと考えている人が最初に手にする教材として最適だからです。
次にバックエンドですが、バックエンドは実践的なものや個別具体的な部分にフォーカスしたものがいいと思います。例えば「TOEIC模試解説コース」などです。模試の解説といった実践的な内容にすることで、「TOEIC800点突破コース」を購入した人にも欲しいと思わせることができます。
その他にも、最も問題数の多い「TOEIC Part7 集中講座」などのように、個別具体的な部分にフォーカスした商品もいいでしょう。
さらなるバックエンドとして最後に販売するのに適しているのは、人的なサービスです。TOEICレッスンの場合は「個別Skypeレッスン」などはとても良いと思います。
対面でのレッスンであればさらに価値が高いでしょう。人的なサービスは、あなたの貴重な時間を切り売りするサービスなので、とても価値が高く高額で販売することができます。いわゆる、コーチングやコンサルなどですね。
このようにして、フロントエンドとバックエンドの商品を制作していきます。
フロントエンドとバックエンドの事例
フロントエンドとバックエンドの例としては、例えば「書籍」と「高額セミナー」があります。ある有名なダイレクト・レスポンス・マーケティングの企業は、インターネットで書籍を販売して、書籍の購入者に高額なセミナーやコンサルを販売しています。
その他にも、居酒屋では「お昼のランチ」と「夜の飲み会」という戦略をとっているところが多くあるのを知っていでしょうか。お昼に街を歩いていると、結構な数の居酒屋がランチをやっています。しかも、かなりレベルの高いランチだったりするのです。
でも実は、居酒屋はランチでは利益は出ないといわれています。利益を出すことよりも、一度ランチで利用してもらって、次に夜の飲み会で利用してもらうことを期待しているのですね。
化粧品の通販会社では、「お試しセット」と「定期購入」という組み合わせをよく見ます。DRMで有名な再春館製薬所のドモホルンリンクルも、最初は無料お試しセットを請求してもらうところから取引がスタートします。お試しセットで満足してもらった人に定期購入を奨めていくというやり方ですね。
このように、実はさまざまな業界でフロントエンドとバックエンドの活用した、2ステップマーケティングの仕組みが取り入れられているのです。
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